神に選ばれなかった者達 前編

「あいつら、自分らを嗅ぎつけたのか?それとも落とし穴を警戒してんのか」

ふぁにさんが問いかけた。

それは…もしかしたら、どちらもあるかもしれない。

「分からないが…。校舎内をどれだけ探しても、俺達が見つからないから…」

「校舎が駄目なら、外を探せば見つかるだろうって?そんな知恵が、あいつらにあるのか」

「…確かなことは言えないが、あれを見たら、そう考えるのが妥当だろう」

響也さんと李優さんが言った。

「僕達があのゴミ捨て場付近にいることを知って、続々と外に出てきたってことか…」

お兄ちゃんも、顎に指を当てて呟いた。

…それって、もしかして…。

「私が…一昨日、ゾンビに見つかったから…」

「…!のぞみ」

「見つかったのに、そのまま逃げてきちゃったから…。それで、私達が外にいることがバレて…」

もしそうだとしたら、私はどう責任を取れば良いのか。

私の不注意が…皆を危険に巻き込んで…。

「のぞみ、それは違う。のぞみのせいじゃない」

お兄ちゃんは、真剣な表情で私にそう言った。

更に。

「その通りだ。あのゾンビ共が、俺達の想像以上に賢かったってだけの話だよ」

李優さんも、そう励ましてくれた。

…ここにいる皆はとても優しいから、心の中で私のせいだと思っていても、それを口にすることはない。

落ち込まずにはいられなかった。

だって…。

「折角…皆で落とし穴…頑張って作ったのに…」

「あぁ…。こうなっちゃ、もう今の場所に落とし穴を作るのは無理そうだな…」

さすがに、ゾンビ達が集まる中落とし穴を掘る訳にはいかない。

「じゃあ…場所、変えるか?」

「…同じことの繰り返しになるんじゃないのか?今度はその場所に、ゾンビ達が集まってきて…」

「そうなるだろうね」

そして、今度はその場所から逃げて…また別の場所に落とし穴を…って。

それを何回も繰り返すことになるかもしれない。

…さすがに、それは心が折れるよ。

「…仕方ない。新しい作戦を考えるしかなさそうだな」

…そうだよね。

「…ごめんなさい、私の不注意のせいで…」

「のぞみのせいじゃないから、大丈夫だ。気にするな」

「むしろ、また一つ学びを得られたんだから良いじゃないか。ハナから一筋縄で行くとは、自分らも思ってないよ」

…と、皆は励ましてくれたものの。

これまで頑張ってきた分、やはりショックは大きかった。