神に選ばれなかった者達 前編

しかし、翌日の夜。

状況は一変する。





いつものようにゴミ捨て場付近に集まった私達は、誰ともなく、落とし穴建設の作業を始めた。

しかし、僅か30分足らずで、二体のゾンビが近寄ってきた。

覚悟はしていたけれど、やはりその姿を見ると、怯えずにはいられなかった。

そんな私を、お兄ちゃんが庇ってくれた。

その間に、昨日と同じように、萌音さんがシャベルで殴ってゾンビ達を倒してくれた。

再び平和が訪れたが、それはほんの僅かな間だけだった。

それから、10分もしないうちに。

またしても、ふらふらとゾンビが一体、こちらに向かって近づいてくるではないか。

ある程度予測していた襲撃だった為、その一体は、離れた位置から狙いを定めたふぁにさんが、弓で頭を貫いて、事なきを得た。

弓で射抜かれたゾンビが、その場にぐらりと倒れるのが見えた。

さすがの腕前である。

…しかし…。

「…皆、今日は落とし穴の作業は中止しよう」

相次ぐゾンビの来訪に、ついに李優さんが言った。

…そうなるよね。嫌でも…。

「響也…。何処かに隠れる場所、心当たりはないか?」

李優さんは、この学校の地理を誰より知っている響也さんに尋ねた。

問いかけられた響也さんは、しばし考えて。

「…向こうに部室棟がある。そこでやり過ごそう」

とのこと。

「よし、分かった。案内してくれるか?」

「あぁ」

響也さんは、小走りで私達を部室棟に案内してくれた。

「のぞみ、行こう」

「うん」

お兄ちゃんは、私の手をしっかりと繋いで、響也さんの後を追いかけた。

部室棟は、ここからそんなに離れてはいなかった。

でも、二階建てのしっかりとした建物で、コンクリートの柵で遮られているお陰で、ゾンビ達の視線は遮られていた。

何より、柵から頭を出せば、ゴミ捨て場の様子が見えるのが有り難かった。

私達はそこに隠れて、ゴミ捨て場の様子を伺った。

…私達が落とし穴を放棄して、部室棟に隠れてから、僅か30分足らずで。

次々と、落とし穴付近にゾンビ達が集まっていた。

その数は、一体や二体という数ではない。

ゾンビ達は続々と、落とし穴の周りに集結し始めていた。

あっという間に5体、10体、20体と増えていき。

ついには数え切れないほどのゾンビ達が、私達を探すかのように落とし穴の周りに集まっていた。

中には、ずるずると落とし穴に落ちていくゾンビもいた。

私達の落とし穴作戦は、あながち下策ではなかったらしい。

とはいえ、落とし穴はまだ未完成。

深さも充分ではなく、這い出ようと思えば、それほど苦労せず出ることが出来る。

ずるずると落っこちては這い出して、を繰り返していた。

「…阿鼻叫喚、って感じだな…」

「あの数は、さすがに一度に相手するのは難しいね」

李優さんと、萌音さんがそう言った。

…私達全員が束になっても、あの数を同時に相手するのは無理だよ。萌音さん。