神に選ばれなかった者達 前編

急いで、落とし穴の建設現場に戻ると。

血相を変えたお兄ちゃんが、慌ててこちらに向かってくるところだった。

「のぞみ!大丈夫か?」

お兄ちゃんは私を見つけるなり、シャベルを放り出して駆け寄ってきた。

お兄ちゃん。気持ちは分かるけどシャベルを投げないで。危ないから。

「戻ってくるのがあまりに遅いから、心配したぞ」

「ご、ごめん。お兄ちゃん…」

「何かあったのか?転んだのか?怪我したのか?」

「だ、大丈夫だから」

バケツは落っことしたけど、怪我はしてないよ。…まだ。

「それよりお兄ちゃん…向こうに」

「え?」

「ゾンビが集まってるの。何とか、逃げてきたんだけど…」

私の報告に、お兄ちゃんだけでなく、仲間達皆が驚いた。

「何だって?ゾンビ共が校舎から出てきたのか?」

「うん…。私が大きな音を立ててしまったからかもしれないけど」

「そうか…。大丈夫だとは思うが…気をつけないとな」

「…ごめんなさい」

私が不注意だったばっかりに…。

「いや、のぞみは悪くない。よく逃げてきた。怪我がなくて良かったよ」

優しい李優さんは、そう言って励ましてくれた。

今夜のこの出来事は、私の不注意が原因だと思っていた。

しかし、この日を境に、段々と状況が変わっていくことになる。