神に選ばれなかった者達 前編

ホッとしたのも束の間。

俺は、この場で皆に肝心なことを尋ねなければならなかった。

ずっと知りたかったことを。

「教えてくれ。…これは一体何なんだ?」

「ん?」

「俺達は何で、夢の中で話してるんだ?どうして夢の中にゾンビがいるんだ?あいつらは何なんだ?俺達はどうしてここにいる?一体何の為に…」

「ちょっと待て。気持ちは分かるが、落ち着け」

佐乱李優が、俺を制した。

う、ぐ。

我ながら、つい機関銃のように捲し立ててしまった。

「す、済まない…」

「まぁ、なんだ…。気持ちが分からないことはない。今でこそ慣れてるが、俺達も最初はそうだったからな」

最初は…。

…ということは、彼らはやはり…初めてではないのか。

これまでも、このような状況に陥ったことがある。

だからこそ、こんなにも余裕があるのだろう。

「お前達は…いつから、この悪夢を…?」

「そうだな…。生贄…俺達は自分のことをそう呼んでるんだが…俺達が生贄になった時期は、それぞれ違うから。何とも言えないな」

「…生贄…?」

生贄って、どういう意味だ?

「萌音曰く、天使に最初にそう言われたらしいんだが…」

「天使…?」

恐らく説明してくれているのだろうが、全然意味が分からない。

「俺はそんなところまで覚えてないし、他の奴らも…」

「そこら辺のことは、最近来たばっかりのあんたさんの方が、よく覚えてるんじゃないの?」

と、妹尾ふぁにに聞かれた。

「覚えてる…?何を?」

「生贄になる直前に、なんか変な夢を見なかったか?」

「…この、悪夢じゃなくて?」

「そう、悪夢じゃなくて。天使っぽいのに会わなかった?そいつに何か言われなかった?」

「…」

正直言うと、よく覚えていなかった。

ここ最近の悪夢の方が強烈で、それ以前の夢の内容なんて…。

でも…言われてみれば、確かに…。

「…誰かに、謝られたような気がする…」

それが誰だったのかは分からない。思い出せない。

でも、だけど…誰かが俺に謝って、それで…。

その翌日の夜から、悪夢を見るようになった。

「成程ね…。謝られた、か…。自分も覚えがあるな」

「うん、私も」

妹尾ふぁにと、空音のぞみが同意した。

彼らも…悪夢を見る前に、別の誰かに謝られる夢を見た。

それがきっかけなのか?そのことが、悪夢を呼び起こす原因?

「で、萌音はその時の、最初の夢をしっかり覚えてるらしいんだが…。その夢の人に言われたらしい」

「何を?」

「君達は生贄に選ばれた、って」

「…」

生贄…俺達が?

俺達が悪夢に見舞われるようになったのは、生贄に選ばれたからだというのか?