すると、眞沙は何を思ったか。
「そうか…。やっぱり響也兄ちゃんは、勉強の方が性に合ってる?」
と、聞いてきた。
…別にスポーツが苦手だから、勉強に傾倒してる訳じゃないが。
「どうかな…。別に…」
「まぁ、響也兄ちゃんは頭良いもんな…。部活に参加するより、勉強に集中する方が良いのかも」
「…」
頭良い、という評価をされるのは、非常に心外である。
「それは誤解だ」
「何でだよ?またまた…。謙遜されると嫌味っぽいぞ」
嫌味を言ってるつもりはないんだが。
「めちゃくちゃ頭良いじゃん、響也兄ちゃん」
「…何でそう思う?」
「だって、響也兄ちゃんがうちに来て、勉強を教えてくれるようになってから、俺の成績、物凄く上がったじゃん?」
…それは。
「それに、眞実(まみ)が中学受験に合格したのだって、響也兄ちゃんが家庭教師してくれたお陰じゃないか」
「…あぁ…」
そんなこともあったな。
眞実というのは、眞沙の妹のことである。
つまり、俺にとっては従姉妹に当たる。
昨年、彼女は中学受験に挑戦したのだが、俺が家庭教師代わりに勉強を教えた。
その結果、彼女は無事、第一志望の私立中学校に合格した。
それが自分のお陰だったと自惚れるつもりはないが、眞沙は俺の指導の賜物だと思ってくれているらしい。
「ほんと、頭が良くて羨ましいよ。俺も部活ばっかりじゃなくて、たまには勉強もしないとな…」
「…」
眞沙のこの発言は嫌味ではなく、本心でそう言っている。
彼はそういう人間だ。
俺にしてみれば、そんな眞沙の方がずっと羨ましい。
勉強なんて、別に出来なくても良い。
クラスに溶け込んで、部活に溶け込んで、充実した毎日を送っている彼の方が、俺よりもずっと…。
「…って、話してたらもう着いちゃったよ」
眞沙は、自分の中学校に繋がる交差点で立ち止まった。
ここからは別れて、俺は高校に向う為に駅の方向に、眞沙は自分の中学校に向かう。
「それじゃ、響也兄ちゃん。またな」
「あぁ」
俺は眞沙と別れて、一人で歩き出した。
途端に、酷く憂鬱な気分が押し寄せてきた。
「そうか…。やっぱり響也兄ちゃんは、勉強の方が性に合ってる?」
と、聞いてきた。
…別にスポーツが苦手だから、勉強に傾倒してる訳じゃないが。
「どうかな…。別に…」
「まぁ、響也兄ちゃんは頭良いもんな…。部活に参加するより、勉強に集中する方が良いのかも」
「…」
頭良い、という評価をされるのは、非常に心外である。
「それは誤解だ」
「何でだよ?またまた…。謙遜されると嫌味っぽいぞ」
嫌味を言ってるつもりはないんだが。
「めちゃくちゃ頭良いじゃん、響也兄ちゃん」
「…何でそう思う?」
「だって、響也兄ちゃんがうちに来て、勉強を教えてくれるようになってから、俺の成績、物凄く上がったじゃん?」
…それは。
「それに、眞実(まみ)が中学受験に合格したのだって、響也兄ちゃんが家庭教師してくれたお陰じゃないか」
「…あぁ…」
そんなこともあったな。
眞実というのは、眞沙の妹のことである。
つまり、俺にとっては従姉妹に当たる。
昨年、彼女は中学受験に挑戦したのだが、俺が家庭教師代わりに勉強を教えた。
その結果、彼女は無事、第一志望の私立中学校に合格した。
それが自分のお陰だったと自惚れるつもりはないが、眞沙は俺の指導の賜物だと思ってくれているらしい。
「ほんと、頭が良くて羨ましいよ。俺も部活ばっかりじゃなくて、たまには勉強もしないとな…」
「…」
眞沙のこの発言は嫌味ではなく、本心でそう言っている。
彼はそういう人間だ。
俺にしてみれば、そんな眞沙の方がずっと羨ましい。
勉強なんて、別に出来なくても良い。
クラスに溶け込んで、部活に溶け込んで、充実した毎日を送っている彼の方が、俺よりもずっと…。
「…って、話してたらもう着いちゃったよ」
眞沙は、自分の中学校に繋がる交差点で立ち止まった。
ここからは別れて、俺は高校に向う為に駅の方向に、眞沙は自分の中学校に向かう。
「それじゃ、響也兄ちゃん。またな」
「あぁ」
俺は眞沙と別れて、一人で歩き出した。
途端に、酷く憂鬱な気分が押し寄せてきた。


