神に選ばれなかった者達 前編

…俺はいつもそうだ。昔から。

意志が弱い。決断力がない。

自分のことを、自分で決められない。

弱い人間だ。…つまらない人間だ。

いつだって受動的に、周囲に流されるまま、自分の意見を口にすることも出来ない。

だから学校でも、いじめっ子達の好きにされている。

何をされても怒らないし、文句を言わないし。

辛いとも、苦しいとも言えない。
 
…寂しい、とさえ。

自分にとって耐え難い出来事が起きても、自分の力でそれを解決しよう、現状を打開しようと思えない。

慣れようとしてしまう。耐えられない気持ちも苦しみも、慣れてしまえば辛くないから。

順応して、適応して、辛いことを当たり前にして。

ずっと、そうやって生きてきた。

そして今俺は、こうして毎日、謎の悪夢に苦しめられていることさえ。

解決しようとせず、慣れようと考えてしまっている。

錐を寸前で止めてしまったのが、その証拠だ。

戦うことが唯一の解決法だと教えられたのに、それが出来ない。

そんな…弱い人間。

…だがそれは、多分、俺の気質のせいではない。

俺が、そんな風に育てられたからだ。

お前の意志など関係ない。お前に命を与えたのは自分なのだから、自分の期待に応えることだけ考えれば良い。

起きる時間、寝る時間、食べるものも着るものも、人に決めてもらう。

勉強する時間も、勉強する科目も、受けるテストも、そのテストの点数も。

何もかも、決めてもらうのが当たり前だった。

決められた通りにしなければ、俺に価値などない…。

…そう。俺にはもう、何の価値もないのだ。

価値もないのに、まだ生きている。

相変わらず、自分で決めることも出来ない弱虫のまま…。

…馬鹿じゃないのか。

いつまで従順でいるつもりなんだ。俺は。

ぐちゃぐちゃと手足を食べられながら、俺はぼんやりと虚空を見上げていた。

自分の情けなさと弱さが、つくづく嫌になる。

…どんなに頑張っても。

どんなに一生懸命頑張っても。

どんなに苦しんでも。どんなに辛い思いをしても。どんなに寂しくても。




俺が欲しかったものは、もう永遠に手に入らないのに。