神に選ばれなかった者達 前編

俺はその日、相変わらず学校にも行かず。

一日中、取り憑かれたように『処刑場』という名の掲示板を見ていた。

しばらくは、掲示板に進展はなかった。

でも、それから数時間が過ぎた、その時。

ピコン、と電子音がして、誰かがメッセージを発信した。

俺はそのメッセージを、食い入るように見つめた。

『天使ちゃん∶昨夜もお疲れさん』

「…!」

昨夜も、というその言葉に、俺は食いついた。

昨夜…昨夜、って…もしかして…。

それに、お疲れさんっていうのは、どういう…。

会話に参加しておらず、掲示板を見ているだけの俺は。

この「天使ちゃん」というハンドルネームの人物が、何に対して「昨夜はお疲れさん」と言っているのか、推し量るしかない。

しばらくすると、「天使ちゃん」のメッセージに反応する者が現れた。

『シスコン兄∶お疲れ様

シスコン兄の妹∶みんなお疲れ様です』

ハンドルネーム「シスコン兄妹」が、挨拶を返す。

この時点で、3人の人間が『処刑場』を見ているということになる。

…いや、4人か。

会話している三人を、会話に加わらず眺めている俺がいるのだから。

更に、会話が続く。

『シスコン兄∶どうだった?昨日は

シスコン兄∶こっちは、殺さずに隠れてた』

隠れてた…?殺さずに?

…何を?

『シスコン兄の妹∶私がうっかり足をくじいてしまったから。そのせいで

シスコン兄の妹∶ごめんなさい

天使ちゃん∶気にしなくて良い。

天使ちゃん∶俺も逃げ回ってたようなもんだ。もねの背中で』

…もね?

もねって言うのは…今、ここには参加してないが。

上の方にある、ハンドルネーム「もちもちもね」という人のことか?

…何がもちもちしてるのか知らないが。

『天使ちゃん∶隠れてるって、何処に隠れてたんだ?何処かに隠れる場所、あったか?

シスコン兄∶言い難いが、ゴミ捨て場に隠れてた

天使ちゃん∶ゴミ捨て場?

シスコン兄∶ゴミ捨て場のポリバケツの影に隠れてた。

天使ちゃん∶そんなところに隠れられるものなのか?

シスコン兄∶ゴミの匂いがキツいせいか、不思議とゾンビが寄ってこなかったんだ』

まただ。

またしても、「ゾンビ」という言葉が。

『シスコン兄∶妹をポリバケツの影に隠して、僕が見張りをしてた。

天使ちゃん∶そうか。分かった。

天使ちゃん∶今度から、いざとなった時の逃げ場所は、そのゴミ捨て場にしよう』

いざとなった時の逃げ場所…。

ゴミ捨て場…。

『天使ちゃん∶場所を教えてくれるか?

シスコン兄∶詳しく説明するのは難しいが。

シスコン兄∶校舎の裏側だ。多分、体育館の近くにある。

天使ちゃん∶体育館か…。他に特徴は?

シスコン兄の妹∶近くに花壇があって、それに、正面の教室は理科室でした』

花壇。

それに、理科室。
 
そのキーワードに、俺は愕然とした。