正直、逃げ出したいくらいビビっていた。
さっきは勇ましいこと言ってたけども。
…え?ここまで来たら、潔く、男らしく覚悟を決めろよ、って?
うるせぇ。ふぁにだって人間なんだよ。
人並みにビビる時はビビるし、怖いもんは怖いんだよ。
大体、逃げたくても逃げられないから、仕方なく立ち向かうことを決めたんだ。
もし逃げられるなら、水平線の彼方までだって逃げたよ。
困難に真っ向から立ち向かうなんて、ふぁにはそんな強い人間じゃない。
今だって、勇ましく立ち向かってるように見えて。
ふぁには別に、この半魚人を打ち倒してやる!なんて大それたことを考えている訳じゃない。
さっきも言ったろ?死ぬ覚悟は出来ている。
そうじゃなくて、ただ。
死ぬ前に、一矢報いてやろうと思っただけだ。
半魚人が、耳元まで裂けた大きな口を、がぱっと開け。
逃げる間もなく、ふぁにを一口で丸呑み。
グロテスクに開いた口の中に、あっという間に吸い込まれたかと思うと。
強烈な生臭い匂いがして、同時にバリッ、と音がして、半魚人の鋭い牙がふぁにの身体を貫いた。
それだけで、もう心が折れてしまうくらいの痛みを感じた。
だけど、ふぁには手に持っていた瓦礫を離さなかった。
こればかりは、意地だ。
虐げられ、捕食され、弱者の烙印を押され。
夢の中でも現実でも、いつだって、傷つけられる側に置かれ。
人類は皆平等だ、なんて詭弁を聞く度に、腸が煮え繰り返るような思いを抱えながら。
それでも、無力な自分では何も出来ず。
ただひたすら、悲しい負け犬の遠吠えを上げ続けることでしか抵抗出来ない、生まれながらの敗北者の。
せめてもの、矜持。
ふぁには、死にそうな痛みを堪えながら。
渾身の力を込めて、瓦礫の破片を半魚人の口の中に突き立ててやった。
歯は鋭いが、口蓋は柔らかいらしく。
思った以上の手応えで、ぶすっ、と深く突き刺さった。
途端に、半魚人が喉の奥から、凄まじい断末魔の悲鳴をあげた。
さっきは勇ましいこと言ってたけども。
…え?ここまで来たら、潔く、男らしく覚悟を決めろよ、って?
うるせぇ。ふぁにだって人間なんだよ。
人並みにビビる時はビビるし、怖いもんは怖いんだよ。
大体、逃げたくても逃げられないから、仕方なく立ち向かうことを決めたんだ。
もし逃げられるなら、水平線の彼方までだって逃げたよ。
困難に真っ向から立ち向かうなんて、ふぁにはそんな強い人間じゃない。
今だって、勇ましく立ち向かってるように見えて。
ふぁには別に、この半魚人を打ち倒してやる!なんて大それたことを考えている訳じゃない。
さっきも言ったろ?死ぬ覚悟は出来ている。
そうじゃなくて、ただ。
死ぬ前に、一矢報いてやろうと思っただけだ。
半魚人が、耳元まで裂けた大きな口を、がぱっと開け。
逃げる間もなく、ふぁにを一口で丸呑み。
グロテスクに開いた口の中に、あっという間に吸い込まれたかと思うと。
強烈な生臭い匂いがして、同時にバリッ、と音がして、半魚人の鋭い牙がふぁにの身体を貫いた。
それだけで、もう心が折れてしまうくらいの痛みを感じた。
だけど、ふぁには手に持っていた瓦礫を離さなかった。
こればかりは、意地だ。
虐げられ、捕食され、弱者の烙印を押され。
夢の中でも現実でも、いつだって、傷つけられる側に置かれ。
人類は皆平等だ、なんて詭弁を聞く度に、腸が煮え繰り返るような思いを抱えながら。
それでも、無力な自分では何も出来ず。
ただひたすら、悲しい負け犬の遠吠えを上げ続けることでしか抵抗出来ない、生まれながらの敗北者の。
せめてもの、矜持。
ふぁには、死にそうな痛みを堪えながら。
渾身の力を込めて、瓦礫の破片を半魚人の口の中に突き立ててやった。
歯は鋭いが、口蓋は柔らかいらしく。
思った以上の手応えで、ぶすっ、と深く突き刺さった。
途端に、半魚人が喉の奥から、凄まじい断末魔の悲鳴をあげた。


