神に選ばれなかった者達 前編

酷いよなぁ、本当。

こんなつまらない死のせいで、現実まで「侵食」されるんだから、やってられねぇよ。

ふぁにが堪え性もなく、迂闊に頭を出してしまったばっかりに、パクンだよ。

本当に酷い死に方だった。

死に様なんて、誰も等しく凄惨なもんだと相場が決まってるが。

だからって、半魚人に食べられるのは最悪だよ。

…おまけに。




「…はっ…!?」

身体をすり潰され、半魚人の胃の中にごっくんと飲み込まれ。

ようやく命が終わった、その直後。

再び、ふぁには深海の底に立っていた。

…まるで、時間が巻き戻ったかのように。

「…何だ、これ…」

…ここも、まだ夢の中なんだよな?

現実みたいにリアルだけど、ここは現実じゃない。

まだ、覚めることのない夢の中…。

「…っ!」

またしても、迫りくる半魚人の気配を感じて、身を竦ませた。

何なんだよ、これは一体。

何回も繰り返すって言うのか?あの半魚人を倒すまで?

ともあれ、ここでぼーっとしている暇なかった。

隠れる場所を探さなくては。

でも、さっきと同じ場所に隠れたんじゃ、あいつはまたふぁにを見つけるかも知れない。

別の場所…別の場所、何処かないのか…?

血眼になって、周囲を見渡す。

泳ぎなんて得意じゃないけど、死に物狂いで泳いで、隠れられる場所を探した。

多分、あまりにもみっともない泳ぎ方になっていたと思う。

バタ足に犬かき、みたいな。

だが、人間生き死にがかかっていると、形振り構ってはいられない。

見つかったら、餌として捕捉されたら、絶対泳いで逃げることは出来ないのだから。

懸命に泳いで、そして、倒れかけた建物の柱の影に、瓦礫の窪みのようなスペースを見つけた。

よし、ここだ。ここにしよう。

これ以上、悠長に隠れる場所を探している時間はなかった。

窪みに身体を突っ込んで、息を潜めた。

そこは瓦礫まみれで、急いで身体を突っ込んだ為に、顔や手のひらを擦りむいてしまったけれど。

そんなこともお構い無しだった。

瓦礫の隙間から、様子を伺ってみる。

すると案の定、例の半魚人がすぐ傍まで来ていた。

ひぇっ…危ないところだった。

何とか、このままやり過ごしたい。