神に選ばれなかった者達 前編

そのまま、一体何分が経過しただろう。

胎児のように身体を縮こませている為、段々と窮屈になってきた。

それに、何だろう。この気持ち悪い感じ。

急かされているような、何者かに見張られているような。

そんな、何とも言えない不快さを感じる。

…そろそろやり過ごせただろうか?

…いや、念の為もうちょっと待とう…。

…なんか、あれだな。かくれんぼしてるみたい。

「もーいーかい?」「まーだだよー」みたいな…。

笑い事じゃないんだっての。

もーいーかい?と聞いて、答えてもらえるはずもなく…。

…そろそろ良いだろ。さすがに。

理由の説明出来ない焦燥感に、ついに痺れを切らしたふぁには。

がばっ、と物陰から顔を上げた。

瞬間。

丁度、こちらに向かって迫ってきていた半魚人と、ばっちり目が合ってしまった。

…運命的な出会い。

食パン咥えて「いっけなーい、遅刻遅刻」って走ってたら、イケメンとごっつんこして恋が始まる。そんな素敵なシチュエーション。

…相手、イケメンじゃなくて半魚人だけど。

「やっ…!」

ヤバい、と言って踵を返す暇もなかった。

ふぁにを見つけるなり。

凄まじい速度で、こちらに迫ってきた。
 
その速度は、人間の泳ぐスピードを遥かに越えていた。

姿を見つけられた時点で、ゲームオーバーだった。

半魚人が、その裂けた口をがぱっ、と口を開けた。

途端、バキュームカーに吸い込まれるように、ふぁには半魚人の口の中に飲み込まれ。

ガリ、バリ、グチャ、と自分の身体が噛み砕かれ、すり潰される音を聞いた。

…その時の痛みと来たら。

昨夜、ピラミッドの瓦礫に押し潰された時とどっこいどっこい。

痛い、なんて言葉じゃ説明仕様のない痛みだった。

…これが、ふぁにの2回目の死。