神に選ばれなかった者達 前編

…さてと。

そろそろ、舞台を現代の話に戻したいところだが。

最後に、海底都市での、半魚人との戦いの顛末を話しておかなければなるまい。

…とはいえ、これはそんなに…語るべきことはないんだよなぁ。








「…お…」

ふぁにが初めて学校に行った、その日の夜。

昨日と同じように、狭苦しい押し入れの中で眠りにつくと。

ふぁには、またしてもあの海底都市にいた。

…。

…2日続けて同じ夢を見るって、これは普通のことなのか?

本当に昨夜とまったく同じなんだろうかと、周囲をきょろきょろ見渡してみたが。

…やっぱり昨日と同じだ。

…嫌な予感がする。

だって昨日と同じってことは、また…。

「…!」

ほら、言わんこっちゃない。

昨日と同じ、とんでもなくぞっとする気配が、こちらに近づいてくるではないか。

またあいつだ。あの…半魚人。

すぐさま、身を隠さなければならなかった。

しかし、さすがに昨日のトラウマがある。

そりゃ、ピラミッドの下敷きになったら、トラウマにもなるよ。

畜生。現実で、あんな狭いところに寝てるからだよ。こんな悪夢を見るのは。

この時ふぁには、まだこの2日連続の悪夢を、ただの偶然だと思い込んでいた。

昨日の二の舞いは嫌だから、もうピラミッドの中に隠れるのはやめよう。

ふぁには周囲を見渡し、崩れかけた建物の、壁の内側に移動した。

そこにちょっとした蛸壺、じゃないけど。

ちょっとへこみみたいなスペースが出来ていて、そこに身を潜めることにした。

ここなら、多分外からは見えないはず。

ピラミッドの中よりは貧弱な隠れ場所だけど、この近くに、他に隠れられそうな場所は見つからなかった。

それに、ふぁにはこの時点で。

まさか、あの半魚人のバケモノが、あんなことをするとは思っていなかった。

あの半魚人が通り過ぎるまで、やり過ごせば良い。くらいに思っていた。

そして、ふぁにはそのまま、薄暗いスペースに隠れ潜み。

半魚人が通り過ぎるのを待った。

…の、だが。

勿論、そんな浅はかな作戦が上手く行くはずがないことは、分かっているよな?