神に選ばれなかった者達 前編

しかし、散々奇異の眼差しで見られ、挙げ句不審者扱いまでされた甲斐あって。

無事、目的地である◯☓中学校を発見。やったぜ。

ただし、遅刻だった。

辿り着いた時には、既に一時間目の授業が始まっていた。

…しょうがないじゃん。

それでも、辿り着けたことを褒めてくれよ。

校舎に入り、生徒手帳に書いてあったクラスの場所を探す。

これも一苦労だったけど、幸い誰にも聞かずに見つける事が出来た。

やったぜ。

辿り着くだけで、非常に疲れた。

「…おはようございまーす…」

ふぁには、教室の扉をこんこんノックして。

そーっと、引き戸の扉を開けると。

教室の中にいた全員が、さっとこちらを向いた。

うわぁ。

多分今、人生で一番注目を浴びてる。

教卓の前で授業をやってた教師が、じろっ、とこちらを睨んだ。

やめろよ。そんな目で見るの。

それどころか。

「何だ。社長出勤か?良いご身分だなぁ」

いかにも嫌味ったらしく、そう言われた。

何だと?畜生。

確かに、遅刻したふぁにが悪い。それは確かだ。

でも、場所分からなかったんだから仕方ないだろ。

そんな嫌味っぽく言われる筋合いはないぞ。

「さっさと座れ」

「…はい…」

非常に不快この上ないが、ふぁには自分の席に着くことにした。

…ところで、自分の席、何処?

教室内をぐるりと見渡して、自分の席を探す。

多分、一個だけ空いてる席があるはず…。

いや待て。運悪く他にも欠席者がいたら、どっちの席か分からん…。

と思ったが、幸い、今日は欠席者はいなかったようで。

教室の一番後ろ、一番隅っこに、空いてる席が一つだけ見つかった。

おぉ、あれだな。きっとあの席。

一番後ろの、一番隅っこ…。

何だか追いやられてるような場所だが、でも一番後ろの一番隅っこって、席替えにおいてはかなりレアな席じゃないか?

黒板からは遠いけどさ。その分先生の目からも遠いし。

逆に当たり席、って感じ。

前向きに行こうぜ、前向きに。

ふぁには、その空いている一番後ろの席に座った。

そして、机の上を見てびっくりした。

ふぁにの…いや、ほたるの机には、無数の落書きが刻まれていた。

本当に刻まれているのだ。多分、彫刻刀で彫ったんだろう。

下手くそなでっかい字で、「バカ」、「アホ」、「カス」、「しね」って。

水性ペンやクレヨンで書くんじゃなくて、消すことの出来ない彫刻刀で彫る、という点に、匠のこだわりを感じる。

とにかくふぁには、その机の有り様を見て。

心底、度肝を抜かれたのである。