神に選ばれなかった者達 前編

ふぁには、それはもう頑張った。

まずは、学校の制服を探すところから始めた。

何せ、どんな制服を着て学校に行ってんのか、ふぁには知らないから。

もしかして、制服じゃなくて私服だったりして…。

だとしたら、恥ずかしいことこの上ないな。

幸い、制服は少し探すだけで見つかった。

というのも、ほたるはほとんど着たきり雀だったらしくて。

そもそも、服というものをろくに持っていなかったから。

あ、多分これだな。って、割とすぐに見つかった。

で、それを着たのは良いんだけど。

ぶっかぶかのだぼっだぼで、みっともないことこの上ない。

こんなに似合わない制服、あるか?

おまけに着古しているらしくて、袖や裾から糸がひょこっと覗いてるし…。

しかし、制服はこれしかないのだから仕方ない。

ふぁには制服を着て、そのみっともない姿に絶望し。

ぐっちゃぐちゃに雨に濡れて、未だに生乾き状態の学生鞄を引っ掴んで、元気に登校した。

…簡単に言うけど、登校するのだって簡単じゃあない。

だって、ふぁに。

自分の通ってる学校の名前も、場所も知らないんだから。

何か目印になるものはないかと、学生鞄の中に手を突っ込んで探す。

落書きまみれのノートだと、ビリビリに破かれた教科書などを掻き分け掻き分け。

しばらく探していると、良いものを見つけた。

「おっ…!これ…」

生徒手帳だ。

雨に濡れてて湿ってるけど、でも生徒手帳を見つけたぞ。

一枚、ページを捲っていると。

◯☓中学校、という学校名が印字されていた。

これだ、これだよ。

この学校だ。

そして学校名の横に、名前が書いてあった。

ふぁにの…じゃなくて、ほたるの名前。

妹尾ほたる、って書いてあった。確かに。

◯☓中学校1年△組の、妹尾ほたるって。

「…」

…やっぱり、ふぁにはほたるだと思われてるんだな。

この、ほたるって名前の部分消して…ふぁに、って書きたいな。

ともあれ、目指す学校の名前、そして学年、クラスも分かった。

しかし問題は、その学校の場所が分からないという点だ。

これは…結構、苦労した。

ふぁには、通りすがりの人を片っ端から捕まえて聞きまくった。

「済みません◯☓中学校って何処ですか?」って。

ふぁには、純粋に場所を聞きたいから尋ねてるだけなのに。

その質問をする度に、まるで珍妙なものでも見るかのような目で見られた。

あるいは、不審者を見るような目で。

「悪戯か?」とでも思われていたのだろうか。

悪戯じゃねーんだよ。こちとら本気なんだ。

仕方ないだろ。ほたるはともかくとして、ふぁには今日初めて登校するんだから。

右も左も分からないのは当然のことだ。

ゴミ出し中のおばさんに尋ね、犬の散歩中のおじさんに尋ね。

通り道にあったコンビニに入って、そこの店員のお兄さんに尋ね。

何なら、元気に集団登校中の小学生の一団を捕まえて尋ねた。

完全に不審者だよな。申し訳無い。