神に選ばれなかった者達 前編

が、まだ安心している暇はない。

「ぐはっ…げほっ…」

ピラミッドの内部は、ぐっちゃぐちゃだった。

天井は崩れて穴が空いているわ、床にも瓦礫が山積みになって散乱している。

ピラミッドの外も充分に暗かったけど、この中は本当に真っ暗。

マジで、自分の手元も見えない。っていう状態だった。

おまけに埃っぽい。めちゃくちゃ埃っぽい。

水の中なのに、何でこんなに埃っぽいんだ。

ふぁにが侵入したことによって、粉塵が巻き上がったみたいだ。

口の中に砂か、砂利みたいなものが入ってきて。

気持ち悪くて、ペッペッと吐き出した。

身を縮こませて、しばらくその場で待機していると。

段々と、暗闇に目が慣れてきた。

ふぅ…。

一歩、ピラミッドの奥に進もうと思ったら。

「…てっ…」

つま先にカツン、と物が当たって、危うく転びかけた。水の中なのに。

何だよ…また瓦礫か?と思って足元を見たら。

「…っ!」

それはピラミッドの瓦礫じゃなかった。

骨だ。

無数に散乱した、人間の骨。

あまりにびっくりして、「ひぇっ」って声が出そうになった。

済みません、骨、蹴っ飛ばしちゃいました。

見えなかったんだからしょうがないじゃん。

そういえば…ピラミッドっていうのは、元々昔の人の墓なんだっけ?

つまりふぁには…人様の墓に穴を開けて、そこに侵入してるってこと?

…。…やべーことやってんな…。我ながら…。

墓荒らしじゃねぇの…。

副葬品、っていうの?ああいうのが一緒に埋葬されてるんだろうか。

見たところ…お宝らしきものは見当たらない。

見渡す限りの、骨。

骨と瓦礫の山。

しかも、その骨も…ちゃんと棺の中に入れて埋葬してあるんじゃなくて。

雑多に骨だけ放り込んでいるかのように、どれもこれもバラバラ。

どれ一つとして、五体満足揃っているまともな遺体が見つからない。

中には、おかしな方向に変形している骨もある。

「…」

試しに、足元にある頭蓋骨をそーっと拾い上げてみる。

その頭蓋骨には、目が3つあった。

眼窩、って言うのかな。顔の、目の穴の部分。それが3つもあるの。

かと思えば、耳は一つしかない。

…これ、本当に人間の骨なのか…?

人間と言うには…あまりに異形…。

「あ…」

大して力は入れていないはずなのに。

ふぁにが動かしてしまったことで、頭蓋骨は脆く、バラバラに崩れ去った。

…また骨を砕いちゃった。さーせん…。