神に選ばれなかった者達 前編

ノートも教科書もペンケースも、酷い有り様だったが。

個人的に、一番心に刺さったのは。

鞄の隅の方に、くしゃくしゃに丸められた紙切れが入っていた。

雨に濡れたその紙切れを摘んで、そっと広げてみる。

どうやら、学校で配られたプリントのようだ。

プリントの内容は、濡れているせいで文字が滲んで読めないが。

そのプリントの裏、白紙の部分に。

油性ペンで、でっかい字で書いてあった。

「死ね」って。たった一言。

…。

…シンプルだけど、なかなか強烈な一言だよな。

思いっきり、こう…腹にボディブロー食らったみたいな気分。

こういうシンプルな一言が、一番心に来るんだよな。

ストレートな一撃って言うか…。

…。

…今日生まれたばっかなのに、死んで堪るか。

ふざけたこと書きやがって。人様に言って良いことと悪いことってもんがあるだろ。

ふぁには、その紙切れをくしゃくしゃに丸め。

ポイッ、と放り投げた。

他人事ながら、気分が悪い。

何処の誰だよ。何の罪もない(?)ほたる君に対して、死ね、だなんて。

大体な、紙に書いて渡すっていうのが気に入らない。

死ねって言いたいなら、面と向かって口で言え。

卑怯だろ。

相手が言い返せない状態で悪口を言う。最低だよ。

ほたる君よ。可哀想だけど、でも落ち込むことはないぞ。

こんな卑怯者の言うこと、真に受ける必要はない。

でも…なんて言うか、気の毒だな。

めちゃくちゃにされたノートやテキスト、それにこの「死ね」の手紙からして。

多分この…ほたる君っていうのは、学校でいじめられてるんだろう。

酷いことするもんがいるんだな。

人のこといじめて、一体何が楽しいんだろう。

あれかな?幼児が、アリンコの巣に木の枝突っ込んで遊ぶのと、同じ感じ?

残酷なことをするのが、面白くて堪らないのかもしれない。

こういう下らない、いじめなんかするような奴は。

脳みそが、幼児のまま成長してないのかもな。

いずれにしても、ふぁにには全然分からないや。

何がそんなに面白いんだか…。

…それに、ほたる君の家族もそう。

こんな酷いいじめを受けてるのに、家族は何も言わないんだろうか?

そもそも、いじめを受けてることを、家族は知ってんのかな…。

もし知らないんだとしたら、家族の目は節穴だな。

でも、もし知っていて放置しているんだとしたら…。

…その家族は、最低のクズだ。