神に選ばれなかった者達 前編

その後続々と、この妹尾家の兄弟達が帰ってきた。

上は高校生から、下は小学生まで。

どうやらこの家、四人も兄弟がいるらしい。

ふーん。そりゃ家の中が賑やかな訳だ。

ふぁにに対しては、超絶塩対応な奥さんだったけど。

四人の子供達に対しては、普通の…いや、むしろ優しいお母さんだった。

それなのに、何で客人のふぁにに対しては、そんな態度なんすか?

意味不明なんだけど。

そもそも、ふぁには本当にお客さんなのか…?

あまりに待遇が悪いから、もしかして、この家の奴隷か何かかもしれないと思い直してきた。

頭に包帯を巻いているというのに、心配してくれる人は誰もいない。

怪我したふぁにを見て、「間抜けw」とか「どんくさw」と草を生やして笑うばかり。

人としてどうかと思うぞ。

嘘でも、「大丈夫?」とか「大変だったね」とか言えよ。

今日生まれたばっかりなのに、何で早速こんな不快な思いをしなきゃならないのか。

ふぁにってこの家でどういう立場なの?って、出来れば聞きたかったんだけど。

とてもじゃないけど、そんな雑談(?)出来る雰囲気じゃない。

奥さんに聞くのが一番良いんだろうなと思いつつ、聞けないまま段々と日が暮れてきた。

その間、奥さんがふぁにに話しかけてきたのは、たった一回だけ。

「あんたの鞄、押し入れに入れといたから。」これだけ。

…なんのこっちゃ。さっぱり分からないんだが。

何処の押し入れのこと?

何でふぁにの鞄、勝手にお宅の押し入れに入れてんの?

そもそも、ふぁにの鞄って何?

聞き返したかったけど、言うだけ言って、さっさと背中を向けられてしまい。

結局、聞けずじまい。

かくなる上は、自分で探すしかなかった。

ソファから立ち上がり、リビングを出て廊下に向かう。

きょろきょろしていると、丁度そこに、ふぁにと同じ背格好くらいの女の子(多分妹尾家の長女)を見つけた。

渡りに船とばかりに、彼女に聞いてみた。

「あの…押し入れって、何処でしたっけ?」

「は?何言ってんの?」

お前が何言ってんだ。普通に尋ねただけだろ。

人様の家なのに、勝手に家探しするのも失礼だよなと思ったから、わざわざ聞いたんだぞ。

「あんたの目の前にあるでしょ。馬鹿じゃないの?」

と、吐き捨てるように言う長女。

…なんつーか、この家の兄弟ってさ、皆カルシウム足りてないんじゃないの?

怒りの沸点低過ぎるだろ。

でも、お陰で物置の場所は分かった。

廊下の押し入れの引き戸を、そっと明けてみる。

するとそこに、ぐっしょりと濡れた、クタクタの学生鞄が放置されていた。

…うわぁ…。

…川に落ちてたのを拾ってきました、って感じ?