神に選ばれなかった者達 前編

家の中に入ると、ふぁにはきょろきょろと玄関を見渡した。

生活感のある家、って感じ。

でも、やはりふぁににとっては他人の家で、まったく見覚えはなかった。

完全初見。

勝手に家に入って良いのかなぁと思いつつ、おばさんの後を追って入室。

この家の奥様であるらしいおばさんは、ふぁにに背中を向けていた。

こちらに向かって話しかけることも、どころかこちらを気に掛ける様子もまったくない。

…なんつーか、どうして良いか分からないんだけど。

知らない他人の家に招待されたは良いけど、家主がまったくもてなしてくれない。という気まずさ。

別に、手厚くもてなしてください、とは言わないけどさぁ…。

せめて、何処に座ったら良いかくらいは教えてくれない?

…立ちっぱなしは辛いから…勝手に座って良いかな。

ふぁには、とりあえずリビングに置いてある、クタッとしたソファに腰掛けることにした。

年季の入ってそうなソファだ。

ふぁにがソファに着席すると、妹尾家の奥様がじろっ、とこちらを睨んだ。

え、ちょ、何?

…びっくりしたんだけど?

なんか、あれ?駄目だった?何勝手に座ってんだよ、みたいな?

客人は床に座らせるスタイル?

しかし、奥様は何も言わず。

相変わらず軽蔑の眼差しを向けてから、くるりと背中を向けた。

…何だよ。

「勝手にソファに座ってんじゃねぇ!」って、言いたいなら言えよ。

何なんだよさっきから…。何でこんな刺々しい態度なの?

初対面なのに、「あなたのことが気に入らない」オーラをめちゃくちゃ出してくる。

そんな態度だと、こっちも強気に出て良い?

ふぁにはアレだから。学校の先生に、「やる気がないなら帰れ!!」って言われたら。

「はい!」っつって元気に下校するタイプだから。

まぁ言われたことないけど。さっき生まれたばっかだし。

非常に不快な態度を取られて、こちらも不愉快なので。

他人様の家でも関係なく、不躾に室内をきょろきょろとガン見させてもらうことにする。

いや、生まれて初めての他人の家だから、ぶっちゃけ興味津々なんだわ。

なんか面白いものないかな。家宝の壺とか。

…壺、は見当たらないが。

気になるのは、作品が飾ってあることだ。

…作品って何だ、って?

絵とか、書道とか、よく分からんけど工作で作ったものとか。

そういう、子供が作ったであろう作品が、リビング内に飾ってある。

絵の良し悪しは分からないけど、書道の作品を見ると、何年生が書いたものなのか分かりやすい。

割と上手な文字で「感謝」とか「一生懸命」って書いた作品もあれば。

書道を始めたばかりの低学年が、ひらがなで「おおぞら」、「げんき」とか書いてある作品もある。

元気そうで何より。

どうやらこの家には、子供が何人かいるみたいだな。