下らない能力だ。私の武器は。
自分でも情けなくなるくらいに。
だって、そうだろう?
こんな能力、この悪夢の中じゃ大して役に立たない。
現実だったら、命は一つしかないから。
回復能力、治癒能力は、とても役に立つものとして重宝されるだろう。
でも、この夢の中じゃ、命は無限なのだ。
何度死んだって、死ぬほど痛い思いをするだけで。
死んだ後は、ちゃんと時間が巻き戻って生き返る。
無限に「死に戻り」出来るのに。
いちいち傷を治すことに、何の意味がある?
しかも私の治癒能力は、こうして、自分の血を…自分の命を捧げることを代償にして、初めて可能なのだ。
そんな面倒なことせずに、二人共一回死んだ方が話が早い。
おまけに、ご覧の通り。
この能力を使った後は、大抵、私は貧血を起こし、ろくに戦える状態ではない。
つまり、みんなの…お兄ちゃんの、足手まといになるのだ。
だから普段、私はこの能力を使わなかった。
役に立たないし、それにお兄ちゃんに止められていたせいでもある。
能力の代償は、私の血。
私が血を流すことによって、傷を癒やす。
私が傷つくところを見たくないお兄ちゃんはいつも、「のぞみはそんなことしなくて良い」と言って、治癒能力を使わせてくれなかった。
ただでさえ役に立たない能力なのに、使わなかったら、もっと役に立たない。
不甲斐ない。みんなの役に立てなくて情けない。
いつもいつも、お兄ちゃんに守られているだけ。
だから代わりに、今度はお兄ちゃんを守りたい。私を守ってくれる大切な存在を、私もまた、同じように守りたい。
私の為に傷ついてくれるのならせめて、私もその痛みを共にしたい…。
…そんな願いが、私のこの中途半端な治癒能力を目覚めさせたのだろうと、そう思っている。
私は真っ青だったけど、お兄ちゃんは顔色が良くなっていた。
…良かった、お兄ちゃん…。…傷、治って。
「のぞみ…。僕の為に、こんな…」
「…良いの…。お兄ちゃんの痛みに比べたら…このくらい…」
何でもないよ。…そうでしょ?
お兄ちゃんはもっともっと…ずっと、辛い思いをしてきたんだから…。
せめて、ほんの少しでも…その痛みを肩代わり出来たら…。
…私にとって、それ以上の喜びはない。
…その時だった。
ドン、ドン、と。病室の扉を乱暴に叩きつける音が聞こえた。
…あぁ。
私達がここに隠れていることがバレたらしい。
自分でも情けなくなるくらいに。
だって、そうだろう?
こんな能力、この悪夢の中じゃ大して役に立たない。
現実だったら、命は一つしかないから。
回復能力、治癒能力は、とても役に立つものとして重宝されるだろう。
でも、この夢の中じゃ、命は無限なのだ。
何度死んだって、死ぬほど痛い思いをするだけで。
死んだ後は、ちゃんと時間が巻き戻って生き返る。
無限に「死に戻り」出来るのに。
いちいち傷を治すことに、何の意味がある?
しかも私の治癒能力は、こうして、自分の血を…自分の命を捧げることを代償にして、初めて可能なのだ。
そんな面倒なことせずに、二人共一回死んだ方が話が早い。
おまけに、ご覧の通り。
この能力を使った後は、大抵、私は貧血を起こし、ろくに戦える状態ではない。
つまり、みんなの…お兄ちゃんの、足手まといになるのだ。
だから普段、私はこの能力を使わなかった。
役に立たないし、それにお兄ちゃんに止められていたせいでもある。
能力の代償は、私の血。
私が血を流すことによって、傷を癒やす。
私が傷つくところを見たくないお兄ちゃんはいつも、「のぞみはそんなことしなくて良い」と言って、治癒能力を使わせてくれなかった。
ただでさえ役に立たない能力なのに、使わなかったら、もっと役に立たない。
不甲斐ない。みんなの役に立てなくて情けない。
いつもいつも、お兄ちゃんに守られているだけ。
だから代わりに、今度はお兄ちゃんを守りたい。私を守ってくれる大切な存在を、私もまた、同じように守りたい。
私の為に傷ついてくれるのならせめて、私もその痛みを共にしたい…。
…そんな願いが、私のこの中途半端な治癒能力を目覚めさせたのだろうと、そう思っている。
私は真っ青だったけど、お兄ちゃんは顔色が良くなっていた。
…良かった、お兄ちゃん…。…傷、治って。
「のぞみ…。僕の為に、こんな…」
「…良いの…。お兄ちゃんの痛みに比べたら…このくらい…」
何でもないよ。…そうでしょ?
お兄ちゃんはもっともっと…ずっと、辛い思いをしてきたんだから…。
せめて、ほんの少しでも…その痛みを肩代わり出来たら…。
…私にとって、それ以上の喜びはない。
…その時だった。
ドン、ドン、と。病室の扉を乱暴に叩きつける音が聞こえた。
…あぁ。
私達がここに隠れていることがバレたらしい。


