神に選ばれなかった者達 前編

「のぞみが無事で良かった」を連呼するお兄ちゃんと、一緒にアパートに帰ってから。

二人で、お兄ちゃんが作ってくれた夕飯を食べた。

今日の夕飯のメニューは、私の好きな「キャベのみ焼き」である。

…え?何それ、って?

お好み焼きのもじりって言うか。

お好み焼きって、本来、ネギとかお肉とか長芋とか、色々入ってるでしょ?

でもそれじゃ材料費が嵩むから、具材はシンプルに、キャベツのみ。

お好み焼きの生地の中に、特売のキャベツをたっぷり刻んで入れて。

フライパンで焼いてソースをかけた、キャベツのみのお好み焼き。

略して、キャベのみ焼き。

…え?それじゃ美味しくないだろうって?

そんなことないよ。

ふっくら生地の中に、たっぷり入っているキャベツの甘みがダイレクトに伝わってきて。

それがソースともよく合っていて、私のお気に入りメニューの一つである。

ちなみに、これもやしバージョンもある。

中に入れる具材をもやしのみにして、もやしのみ焼きにするの。

これも結構美味しいよ。

…という、空音家の夕食事情は置いておいて。

夕飯を食べ終えた頃には、既に外は真っ暗になっていた。

…あぁ、夜が近づいているね。

今日も…。

…いや、今日は…。

「今夜から、また新しい夢になるね…」

私は、ぽつりとそう呟いた。

「そうだね」

「今度は何だろうね…」

前回はゾンビだったから…。

…次は何だろう。…ミイラとか?

あれ?ゾンビとミイラって、どう違うんだっけ?

ミイラは包帯を巻いてる生き物だっけ。

「何でも良いよ。いずれにしても、のぞみは何も心配しなくて良いんだよ」

お兄ちゃんは、いつも私に言う台詞を、今日もまた言った。

「お兄ちゃんがのぞみを守ってあげるから。大丈夫」

「…お兄ちゃん…」

…分かってるよ。

いつだってお兄ちゃんは、そうしてくれたもんね。





昔から…。…最初に悪夢の世界に迷い込んだあの時も、そうだった。