神に選ばれなかった者達 前編

高級雑貨店を出た後も。

私は、あのワゴンセールに入っていたマフラーのことを忘れられなかった。

もし、このままこの場で解散して、「じゃあまた明日ね」で帰っていたら。

きっと、私が足を止めることはなかったと思う。

しかし、私の友達は、お店を出るなり。

「ねぇ、どっか飲み物でも買って帰らない?」

「お、良いねー」

「賛成〜」

ちょっと。何それ聞いてない。

賛成〜、じゃないのよ。勝手に賛成しないでちょうだい。

私、行くなんて言ってない。

「じゃ、スタボ行こっかー」

「良いよー」

「行こ行こ」

出た。スタボ。

この間聞いたわよ。コーヒーのお店よね?

一杯何百円もするっていう…。贅沢過ぎるわ。

雑貨屋で浪費しただけでも、正直うんざりしてるくらいなのに。

この上、更に出費?しかも飲み物の為に?

何度も言うけど、飲み物なんて美味しいお水で充分じゃない。

蛇口を捻れば美味しい水が出るのに、どうしてわざわざお金を出して飲み物を買うの?

…冗談じゃない。自販機のオレンジジュースでも御免だわ。

そんなことにお金を使うくらいなら、いっそのこと…。

…よし。

「…あれ?のぞみ?」

「どうしたの?」

皆が歩き始めたのに、一人だけ立ち止まったままの私に。

スタボ、ならぬスターボックスに向かおうとする女友達3人が、足を止めた。

「…ごめん。私、ちょっと用事を思い出して」

「え、用事?」

「うん。悪いけど、今日はここで失礼するわ」

一方的に、やや強引にそう言って。

私はくるりと振り向き、さっき来た道を引き返した。