神に選ばれなかった者達 前編

恐ろしくて、値札を見ることが出来ないでいたが。

値段を見ずに買い物は出来ないので、私は恐る恐る、近くにあった商品に近寄った。

お茶のティーパックと、クッキーが3、4枚入ったセットである。

商品の隅っこに、小さな値札シールが貼られていた。

そのシールを見る前に、お値段の予想をしてみる。

お茶と、クッキーが数枚…。

お茶って、ティーパックが50枚くらい入って300円だよね?

ってことは、ティーパック1枚分の値段は一枚6円くらい…。

クッキー3枚の値段は…うーんと、スーパーに売ってる激安ビスケットが50枚で100円くらいだから、一枚0.5円として…それが3枚だから、大体2円くらいとして…。

きっと、原価は10円もかかってないはず。

でもこの商品は、綺麗にラッピングされているから。

ラッピング代も込みで…大体50円くらいだろうか。

私、算数は苦手だけどね。こういう計算は速いのよ。貧乏人あるある。

…うん。50円なら買うかな。

そう予想して、恐る恐る値札シールを見て、私は目玉が飛び出そうになった。

…50円どころか。

…500円を超えていた。

…たった、お茶一杯とクッキー3枚くらいで。

ひぇっ…。

このクッキー、金粉でも入ってるのかしら。

駄目だ…やっぱり高級店だ。

次に、私の目に入ってきたのは。

ふわふわの毛皮がついた、いかにもお洒落な手袋。

…うわぁ…。見ただけで分かる。あれは高いわよ…。

手袋なんて、100円ショップに売ってるじゃないの…。

…え?100円ショップの手袋は、生地が薄い?

2枚重ねれば良いじゃない。

こういう高級店では、手袋が一体いくらするのかしら。

100円…じゃくれないよね、さすがに…。

お茶とクッキーで500円もするんだから…。

手袋はきっと、もっと高い。

…700円くらい?

答え合わせの為に、その手袋の値札を確認したかったが。

「…」

…これ、触ったら弁償させられる、とかないわよね?

さすがに、試しに触るくらいは良いわよね?

迂闊に商品に手を触れて、店員に怒られたらどうしよう。

私は、ちらっと友達の方を見た。

すると、

「あ、これ見て。可愛い」

「私、こっちの方が好きかな」

「見て見て。これ、雑誌に載ってたやつだ。可愛いね」

…普通に、商品を手に取って眺めている。

…良かった。どうやら、触っただけで怒られるということはなさそうだ。

じゃあ、答え合わせを…。

私は、二本の指で摘むようにして手袋を手に取り(汚したくないから)。

そーっと、値札のタグを確認してみた。

…思わず、目玉が飛び出そうになった。