神に選ばれなかった者達 前編

…なんて、懐かしくて恥ずかしいエピソードを思い出している間に。

「ほら、のぞみ。着いたよ」

「え?」

「ここで買うの、どう?」

友達についていくと、一軒のお店の前で止まった。

100円ショップかなと思ったら。

「ほら、ここお洒落でしょ?」

「そ…。そ…そうね…」

私は、そのお店から漂う高貴な雰囲気に、思わず気圧されてしまいそうになった。

外装からして、ここが超高級店だってことが分かる。

お洒落…確かにお洒落だけど。

高級ブランド店じゃないの?ここ。

指輪とかネックレスとか、お高い毛皮のバッグとかを売ってるお店じゃないの?

私だったら、買い物するどころか、ウィンドウショッピングでさえ遠慮するレベル。

それなのに。

「よし、じゃあ入ろっかー」

え、嘘。本当に入るの?

冗談じゃなくて?冷やかしじゃなくて?

冷やかしは良くないと思うよ。購入するつもりがないなら、迂闊に入店するのはやめておこう。

しかし、私以外の3人は、続々とお店の中に入っていった。

え、えぇぇ…。

「あれ?のぞみ、何してるの?早くおいでよ」

お店の前で足が固まっている私に、友達が一人、くるりとこちらを向いて促した。

ほ、本当に入るの?私まで?

何なら私、お店の前で立って待ってて良いかな…。

…しかし、そういう訳にもいかず。

「う、うん…」

心臓をばくばくと鳴らしながら、私は恐る恐る、お店の中に入った。

溢れ出る高級感と、その眩しさに。

思わず、両目を塞いでしまいそうになった。

駄目だわ。やっぱり私にはハードルが高過ぎる。

急いでUターンして帰りたいところだったけど、理性でそれを抑える。

…こうなったら、もう覚悟を決めるしかなかった。

恐る恐る、ぎゅっと固く閉じていた両目を開く。

…てっきり、超高級ハイブランドショップかと思いこんでいたのだが。

そんなことはなくて、普通に商品陳列棚に、商品が並んでいた。

あ、あれ…。ガラスケースで覆ってなくて良いの…?

盗難…盗難防止…。

「ここ、おすすめなんだよ。私の行きつけの雑貨屋さんで」

「ほんと。可愛いグッズがいっぱいあるねー」

私の気を知らず、友達はわちゃわちゃとそんなお喋りをしていた。

行きつけ…!?この高級店が行きつけ?

どんな大富豪よ。

「しかも、お値段も割と手頃だね」

「そうだね」

これがお手頃って、あなた100円ショップ行ったことないの?