神に選ばれなかった者達 前編

小学生の時のトラウマがあるので、正直友達の誕生日プレゼントを選ぶのは、あまり気が進まない。

私のセンスって、同年代の子のそれとは大きく異なってるみたいだし…。

未だに私は、友達の誕生日プレゼントに何が良いと思うか、って聞かれたら。

100円ショップのハンカチとかで良くない?と思ってしまう。

充分だよ。ねぇ?

私だったら、100円のハンカチもらったら嬉しいよ。

だって今使ってる私のハンカチ、ハギレの布を四角く切って縫った、手作りハンカチだから。

しかも、それを何年も繕い繕い使ってる。

みみっちくてごめんなさいね。

世間一般的には、どんなプレゼントが喜ばれるんだろう?

私は友達と一緒に、ショッピングセンターに繰り出した。

勿論、お兄ちゃんに連絡は入れてあるよ。

『友達と出掛けるので、遅くなります』って。

うっかり連絡を忘れると、お兄ちゃんが大変なことになるの。

以前、文化祭の準備か何かで、帰りが随分遅くなったことがあって。

あの時はまだ携帯電話を持っていなかったから、連絡のしようもなかったのだけど。

学校を出る頃には外が暗くなりかけていて、ただでさえ学校から家が遠いものだから。

自宅アパートの近くまで帰ってきた頃には、既に日が落ちかけていた。

それでも、私はさして心配していなかった。

遠くから、私の名前を呼ぶ甲高い叫び声が聞こえてくるまでは。

慌てて駆け出すと、血相を変えたお兄ちゃんが、辺りを駆け回っていた。

「のぞみー!のぞみー!!」って、私の名前を連呼しながら。

思わず「お兄ちゃん!?」って叫ぶと、その声を聞きつけたお兄ちゃんが、凄まじい形相で駆け寄ってきた。

そして私をしっかりと抱き締めると(道のど真ん中で)。

「のぞみ、無事で良かった!!何処行ってたの!?心配したんだからお兄∫∃∃11︾≫¡∅≦"✚」

ごめんお兄ちゃん、後半何言ってるのか分からなかった。

「とにかく無事で良かった!のぞみー!」

…って、感動の叫びをあげ続けた(道のど真ん中で)。

…もうね、恥ずかしかったの何のって。

あれ以来、ちょっとでも帰りが遅れる時は、必ず連絡することにした。

しかも、私達の住む貧民街では、人の噂はすぐに広まるもの。

あの後しばらく、「夜になると、『のぞみ』という亡き恋人の名前を悲しげに呼ぶ、男の幽霊が出る」って噂が広まってしまって。

恥ずかしさのあまり、顔から火が出そうだった。

恋人じゃないし。幽霊じゃないし。

お兄ちゃんのせいだからね。もう。