神に選ばれなかった者達 前編

その日の夜。

俺は、久々に眠ることが怖かった。

またしても、同じ悪夢を見てしまうんじゃないかって。

…結局昨日のが何だったのかも、まだ分かっていないのに。

逃げることも、戦うことも出来ない。

ただひたすら、実験体として身体中を解剖されるだけ、なんて。

そんな生き地獄が、本当に存在するのか。

そんな生き地獄を、今夜も体験することになるのか?

そう思うと、怖くて、震えて、眠りにつくことが恐ろしかった。

でも、行かない訳には行かなかった。

俺が行かなければ、もしかしたら、隠れているみらくが同じ目に遭うかもしれない。

それだけは避けたかった。

だから、眠りについた。

昨日のが何かの間違いで、今夜はちゃんと、身体を動かすことが出来るかもしれない。

そう、一縷の希望を抱いて。

でも。

いつだって、希望は裏切られる為に存在しているのだ。






「…!」

眠りについてすぐ、昨日と全く同じように、手術台に磔にされている自分に気づいて。

俺は、今夜訪れる自分の運命を悟った。

そして、今後何日経とうと、何度夜を明かそうと、この宿命から逃げられないということも。

現実を受け入れられないでいる間に。

手術室に、昨日と同じ黒衣人間達がやって来た。

…あぁ、やっぱり駄目なんだ。

…いつもこうだな、俺は。

どんなに努力しても…努力しても…求めているものには、決して届かない。

それも仕方ない。だって、俺は無価値な人間だから。

従兄弟の眞沙や眞未や、みらく達のように、価値のある人間じゃない。

俺には何の価値もない。

それはさながら、花一匁で最後に残った一人のように…。