神に選ばれなかった者達 前編

昼頃になっても、一向に頭痛が治る気配はなかった。

俺はベッドに倒れ込むようにして、割れそうな頭痛と戦っていた。

…すると。

「…響也兄ちゃん?どうしたんだ?」

日曜日とはいえ、一向に起きてこない俺を心配したのか。

従兄弟の眞沙が、俺のもとを尋ねてきた。

「うわ、どうしたんだ…。やっぱり、風邪?」

「…」

ベッドに倒れ込んでいる俺を見て、眞沙はびっくりしていた。

…大丈夫、だと言ってやりたかった。

あと、風邪じゃない、とも。

これは風邪なんかじゃない。それだけははっきりしていた。

間違いなく、あの悪夢のせいだった。

「大丈夫?響也兄ちゃん?」

眞沙が近づいてきて、俺の顔を覗き込もうとした。

その眞沙の顔が、昨夜の黒衣人間と重なった気がした。

「…ひっ…!」

「うわっ…」

思わず、手を振り払ってしまった。

黒いノイズが何度も、視界いっぱいに走った。

痛む頭を振って、目を凝らしてよく見ると。

…そこには、いつもと変わらない眞沙の、驚いた表情があった。

「だ…大丈夫?」

「…」

…あぁ、そうか。

ここ…現実、なんだった。

「ご、ごめん。勝手に入って…。でも、いつまでも起きてこないから…」

「…」

「心配で、つい…。…大丈夫か?熱、あるの?」

「…いや…」

熱じゃない。風邪を引いた訳じゃない。

「頭が…。…頭痛がするだけだ…」

俺は、消え入りそうな声で答えた。

「そ、そっか…。…痛み止めか何か、持ってこようか?」

「…あぁ…。…頼む」

「わ、分かった」

痛み止めなんかで、この頭痛が治るのかどうかは分からなかった。

でも、頼れるものがあるなら頼りたかった。

何でも良いから。






…大体、予想は出来ていると思うが。

折角眞沙が持ってきてくれた痛み止め、鎮痛薬も、この謎の頭痛には一切効かなかった。