神に選ばれなかった者達 前編

「…っ、あぁっ…!」

…ようやく、声が出せたと思ったら。

そこは、現実だった。

…そう、何度も繰り返し、繰り返し死んでいるうちに。

いつの間にか、夜が明けていたのだ。

「…はぁ…はぁ…」

…身体を動かせる。声が出せる。

それだけで、まるで自分の身体じゃないみたいだった。

全身を苛む痛みが、まだ生々しく身体に残っていた。

…何だったんだ、今のは。

何なんだ…。俺は一体、何度、死、

「…っ…!」

ズキン、と激しい頭痛に襲われた。

これまで経験したこともないほど、酷い頭痛だった。

「う…うぅ…」

…この痛み…普通じゃない。そう思った。

ただの片頭痛とは違う。風邪でもインフルエンザでもない。

まるで、さっき…メスで頭を切りつけられた時の痛みのような…。

痛みのあまり、俺はベッドから起き上がることが出来なかった。

…これは何なんだ。一体どうなってるんだ。

その時。

枕元に置きっ放しにしていたスマホが、またしても勝手に光っていた。

画面には、『処刑場』の掲示板が映し出されている。

怒涛のごとく、メッセージが送信されていた。

『M・Y∶きょうやくん。

M・Y∶響也くん、返事して。

M・Y∶一体何がどうなってるの?響也くん』

みらくの、必死の叫びだった。

何がどうなってるの…か。

…正直、それは俺が聞きたい。

俺にも分からない…。何がどうなってるのか、どうすれば良いのか。

でも、これだけは分かる。これだけは言える。

『きょうや∶みらく、ぜったいにでてくるな』

酷い痛みのあまり、震える手で。

俺は、スマホの画面をタップして、掲示板に返信を書き込んだ。

手が震えているせいで、変換も忘れて書き込んでる始末。

『きょうや∶かくれてるんだ。ぜったいに。やくそくしてくれ』

それだけ書き込んで、俺はスマホの電源を切った。

「はぁ…はぁ…」

さっきみたいに、痛みのあまり失神出来れば楽なのに。

現実では、それさえ出来ない。

現実は悪夢より悲惨で、悪夢は現実より悲惨だった。

俺はそのことを、嫌と言うほど思い知らされることになる。