神に選ばれなかった者達 前編

『きょうや∶現状、合流は不可能だと思う』

俺は、はっきりとそのことを皆に伝えた。

『天使ちゃん∶どういうことだ?』

…当然の疑問だな。

『きょうや∶実は昨日、フロア間を移動する為に調べたんだが…』

俺は、自分が昨日見たものについて説明した。

エレベーターにも、階段にも鍵が掛かっていたこと。

鍵は、とてもじゃないが簡単に開けられそうなものではなかったということも。

三階だけ施錠されている、という訳ではなかろう。

三階が施錠されているなら、他の階段も同様のはず。

『もちもちもね∶そうなんだ。じゃあ別の階に行くのは無理だね。

天使ちゃん∶鍵を壊すか、見つけるかしないと駄目だってことか…』

…あの強固そうな鍵を、壊す方法があればの話だがな。

鍵を見つけるのが一番、現実的な方法かもしれない。

あるいは…いっそ、合流を諦めるか。

『ポンコツスナイパー∶しばらくは、それぞれ各階の偵察を進めた方が良さそうだな

天使ちゃん∶そうだな』

まだ初日だからな。

どうせ、これから毎晩悪夢を見続けるのだろうし…。

少しずつ、まずは情報を集めるべきだろう。

妙に熱中しながら、『処刑場』の掲示板で会話をしていると。

不意に、コンコン、と部屋の扉がノックされた。

「響也兄ちゃん。起きてる?」

従兄弟の眞沙が呼ぶ声がした。

…またか。

「あぁ…。…起きてるよ」

「良かった。おはよう、響也兄ちゃん」

「…どうかしたか?」

今日は土曜日だから、学校に行く必要はないが。
 
眞沙はサッカー部の練習があるから、土曜日も関係なく学校に行ってるはず…。

「サッカー部の練習は良いのか」

「あぁ、行く予定だったんだけど…。ほら、今日はこの天気だろ?」

…え?

この部屋には窓がないから、外の天気は分からない。

しかし、耳を澄ましたら…外から、雨音のような音が聞こえてきた。

…今日は雨なのか。それは知らなかった。

「体育館は別の部活が使ってるし、今日は休みになったんだ」

「…そうか…」

それは良かったな。

たまには休みが必要だよな、人間には。

悪夢にも休みがあったら良かったのに。

「それで、今から母さんと眞未と一緒に、買い物に行こうって話になったんだけど…」

「…」

「響也兄ちゃんも一緒に行かないか?」

…俺か。

それは場違いにも程があるな。