神に選ばれなかった者達 前編

『天使ちゃん∶シスコン兄妹は大丈夫か?』

佐乱李優は、この場に居ない兄妹に質問した。

すると。

『シスコン兄∶大丈夫だ。

シスコン兄∶こちらのことは心配しないでくれ』

…との返信が。

何だろう…。大丈夫だと言っているのに、何か含みがあるような…。

一体、彼らは何階にいたのだろう。

俺は早速、昨日命懸けで手に入れた情報を、『処刑場』で共有することにした。

『きょうや∶昨夜病院内で、館内図を見た。

きょうや∶病院は四階建てで、俺とみらくは三階にいた。手術室のあるフロアだ。

きょうや∶他の皆は、どのフロアにいたのか教えてくれ』

すると。

『天使ちゃん∶館内図…。本当か?

天使ちゃん∶それは有益な情報だ』

…良かった。

命懸けで階段を探した甲斐があったな。

『シスコン兄∶僕と妹は、分娩室のあるフロアにいた』

とのこと。

分娩室…俺とみらくがいたフロアとは違うようだな。

俺は、記憶の中の館内図を思い出した。

分別室があったフロアは…。

『きょうや∶ということは、空音兄妹がいるのは二階だな』

俺とみらくの、一つ下のフロア。

『ポンコツスナイパー∶自分は多分一階だと思う。ずっと厨房にいた』

妹尾ふぁには、厨房にいたらしい。

本人が言う通り、厨房があるのは一階だった。

ということは、やはり…俺達はそれぞれ、別々のフロアにいたらしいな。

ということは…。

『ポンコツスナイパー∶李優くんと萌音ちゃんは?』

『もちもちもね∶萌音と李優は、死体のところにいたよ』

これまで会話に参加していなかった久留衣萌音が、そう返信をした。

し、死体…?

『きょうや∶どういうことだ?

もちもちもね∶分かんない。いっぱい死体が並んでた』

死体が並ぶ場所…。…霊安室?

霊安室なんて…館内図に載っていただろうか?

見たところ、それらしい部屋はなかったように思うが…。

如何せん、館内図に書いてある文字が読めないからな。

現在位置の推定も、あくまで憶測でしかない。

『きょうや∶もしかしたら、四階なのかもしれないな。

もちもちもね∶そっかー』

いずれにしても、皆してフロアが別々なのは間違いなさそうだ。

…これは厄介だな。

『ポンコツスナイパー∶合流すんのに苦労しそうだな

天使ちゃん∶建物は四階建てなんだろう?なら、間を取って二階に集まるか

シスコン兄∶いや、二階はやめた方が良い。集まるなら二階以外にしてくれ』

…そんなに凶悪なのか?二階…。

…しかし、今はそんなことは二の次だな。

合流したいのは山々だが、残念ながらそれが不可能だということを伝えなければならない。