神に選ばれなかった者達 前編

…ようやく、意識が途切れたかと思うと。

「…」

自分の部屋の天井を眺めていた。

…あぁ、夜が明けたのか。

のろのろと起き上がり、両目を手で押さえた。

ジジジ、と視界にノイズが走った。

夢の中で殺されたせいだ。

しかも、今回は視界のノイズだけじゃない。

「…っ…」

上体を起こすと同時に、ズキッ、と鋭い頭痛を覚えた。

…今度は頭痛もセットか?

二日酔いって経験したことないが(未成年につき)、もしかしたらこんな気分なのかもしれない。

ゾンビに食い殺されるのも大概だったが、人体実験の材料にされるのも、なかなか辛いものがある。

痛い、という次元を超えた領域の苦痛だった。

もし毎晩、あの方法で殺され続けたら。

そう想像しただけで、背筋が冷たくなった。

迂闊に手術室を逃げ出しては駄目だったんだな…。かと言って、あの場所に隠れていて、道が開けるとも…。

「…ん…」

枕元のスマホが、ちかちか点滅していた。

見ると、『処刑場』の掲示板が開かれていた。

『天使ちゃん∶みんな、大丈夫か?』

佐乱李優が、『処刑場』メンバーを気遣ったメッセージを送ってきていた。

…早速、情報共有の時間だな。

しかし、佐乱李優の質問をスルーして、

『M・Y∶響也くん、大丈夫?』

みらくが、俺を名指しで聞いてきた。

…心配させてしまったようだな、どうやら。

『きょうや∶大丈夫だ』

本当はあまり大丈夫ではないのだが。

みらくを、これ以上心配させる訳にはいかなかった。

『M・Y∶本当に?

M・Y∶だって響也くん、あんな辛そうな目に』

…麻酔無しで外科手術を受けさせられたからな。

いや、あれは外科手術と言うより…ただの人体実験だった。

病院は、人の命を救う為に存在するんじゃないのか?

実験なんて、病院でやらないでくれ。

すると。

『ポンコツスナイパー∶どうした。響也君も餌にされたのか?』

妹尾ふぁにが掲示板にやって来て、そう尋ねた。

…。…餌?

『きょうや∶ふぁには餌にされたのか

ポンコツスナイパー∶美味しいミックスジュースにされたよ』

…ミックスジュース?

一体何のことか分からないが、妹尾ふぁにも殺されたらしい。

俺とは違う殺され方のようだな。…どうやら。