神に選ばれなかった者達 前編

「物理的に明るいものの話してどうするのよ」

「…駄目なのか?」

明るい話って…そういうことかと…。

「そうじゃなくて…。うーんと…そう、面白い話。面白い話をしてよ」

面白い話か…。そうだな…。

俺の頭の中の引き出しに、「面白い話」はほとんど存在していないんだが…。

それでも、みらくを元気づけ、この暗い空気を払拭する為には…。

「…よし。布団が、」

「ふっとんだ、とか言わないわよね?」

何故バレた?

しかも、そんな剣幕で睨まないでくれ。

面白い話と言えば、親父ギャグかと思ったんだが…。…これも駄目なのか?

そうか。きっと安直なのが良くなかったんだな。

もう少し捻りを入れて…。

「…プリンターの上にはプリン体を含むプリンがたっぷりん」

「…」

どうだろう。咄嗟に出てきた割には及第点。

「…響也くんの努力は感じるけど、でもそうじゃないわ…」

…駄目だった。

「そうか…。割と渾身の出来だと思ったんだが…。…難しいな…」

「そうね…。今後私は、響也くんに『面白い話をして』って頼むのはやめることにするわ…」

「やはり、プリン体を含むプリン、には無理があったか」

「いや、そういうことじゃなくてね…」

…そこまで?そこまで下手だったか?

仕方ない。じゃあ俺は今後、親父ギャグを頼まれた時は全力で拒否することにしよう。

何だか、余計に空気が冷えたような気がする。