神に選ばれなかった者達 前編

だが、他にどうやって自分が本物だと証明すれば良いのか。

「来ないでっ…!」

案の定、全然みらくに信じてもらえない。

本物なのに偽物と間違われるって、結構切ないものがあるな。

「来たら…これ、爆発させるから…!」

「やめてくれ、手榴弾で爆殺されたくはない。…それに、この距離だとお前にも当たるぞ」

「こ、殺されるよりマシよ…!」

…果たしてそうだろうか?

「勘違いで無駄死にするよりは、一度でも相手を信じた方がマシだと思うが」

「…」

「…信じてもらえないか?」

みらくは、目をかっ開いて俺を凝視して。

それから。

「ほ…ほんとに、響也くんなの…?」

「あぁ、そうだ。…証明する手段がないのが残念だが…」

こういう時は…。…あぁ、そうだ。

本人しか知らないであろう質問をすれば良いんだったか。

「試しに、何でも質問してみてくれ。本物の萩原響也でしか知らないだろうことを」

「えっ…。そ…じ、じゃあ…その…。…私が欲しがってる、春の新作コスメの色は…?」

「サクラピンク、ローズピンク、ピンクピーチ、パールピンクの4種類だったな」

「…!凄い…!ちゃんと覚えてるんだ…!」

全部ピンク色だったし、それに。

クラスメイトの雨野リリカが、該当の化粧品を学校に持ち込んでいるのを、この目で見たからな。

「そっか…。じゃあ、君は本当に…響也くんなんだね…?」

「あぁ…。少なくとも、俺はそう思ってる。…信用してもらえるか?」

「その、妙に理屈っぽい喋り方…。…やっぱり響也くんだ」

…俺は理屈っぽい喋り方なのか?

そんな方法で本人確認しないで欲しかった。

…まぁ良いか。一応信じてもらえたんだし。

「…さぁ、手榴弾はもう収めてくれ。間違って暴発したら大変だ」

「う、うん…」

みらくは、ようやく手榴弾をウエストポーチにしまい込んだ。

…さて、それは良いとして。

「響也くん、これは一体どうなってるの?私、気がついたらここに居て…」

「…少し黙っていてくれ」

「えっ?」

俺はみらくと同じように、ベッドの下に潜り込み。

それから、みらくの口を塞いだ。

「外の廊下で、何者かの足音を聞いた」

「…!」

「ここまで近づいているかもしれない。…少し静かにしててくれ」

近づいてきているだろうか。…さっきの足音は。

扉を閉めてしまったから、廊下の様子はもう分からない。

でももし、あの足音が、この部屋を目指しているのなら…。