神に選ばれなかった者達 前編

俺に対する嫌がらせの一環として、俺の指紋を特殊な手段(?)で入手して。

この、謎の『処刑場』というアプリをインストールさせて…みたいな。

…。

…果たして、本当に有り得るだろうか?

だって、机と椅子をゴミステーションに捨てに行ったり。

死んだトカゲを、机の中に仕込むような真似をする連中だぞ?

非常に程度の低い嫌がらせと言わざるを得ない。

それなのに、突然こんな…指紋採取や不正アプリのインストールなどという、さながら探偵モノの小説のような。

そんな、頭脳犯罪を犯す頭があるとは、あまり思えない…気がする。

そこまではしないんじゃないか?

と言うか、そこまでのことをする度胸はないと思う。

他人の指紋を勝手に採取するなんて、普通に犯罪だもんな。

人の机と椅子を勝手に捨てるのも犯罪だが。

それに雨野リリカだったら、仮に俺のスマホに『処刑場』をインストールさせたなら。

いつもの、陰湿なニヤニヤ笑いを浮かべて。

「スマホの調子どお?」とか、わざとらしく聞いてくるはずだ。

何ヶ月にも渡って、雨野リリカに嫌がらせを受けてきたからこそ分かる。

彼女の思考回路が。

まるで、悪戯を見つけてもらいたい子供のように、思わせぶりな態度を取るはずだ。

それがないってことは、多分彼女の仕業でもない。

と、思う。

…しかし、それじゃ誰がやったんだ…?

「…」

思い当たる節がなくて、考え込む俺を見て。

「ま、まぁ…ともあれ、アプリを改めてアンインストールして…。ウイルス対策をしっかりしておきましょう」

「ウイルス対策…。…それで大丈夫ですか?」

「多分…。大丈夫だと思いますけど…。如何せん、わたくし共も、このようなアプリを見たのは初めてなので…」

「あぁ…そうですか…」

そんなに特殊なアプリなんだろうか。これ。

ショップ店員は俺の前で、再度『処刑場』をアンインストール。

更に、ウイルス対策の有料アプリを、その場でインストールしてくれた。

無料版じゃなくて有料版なので、きっと高い効果が見込まれるだろう。

眞沙に言われた通り、携帯ショップにも直接相談したし。

これで、『処刑場』からは解放されるだろうと思ったが…。