神に選ばれなかった者達 前編

見ない方が良いだろうとは思ってたけど、本当にその通りだった。

「…はー…」

ふぁには、大きな溜め息をついて。

それから、「私は何も見ていません」とばかりに、そっと冷凍庫の扉を閉めた。

…次。次行こうぜ。

冷凍庫の隣には、大きなホワイトボードが置いてあった。

…でっけーな。こっちは何だ?

何が書いてあるのか、さっぱり読めない。

何語なんだ?これ。

謎の古代文字みないな…見たことのない文字だけども。

だが、どうやらそれは地図…いや、この施設の見取り図…?

どうやらこの施設、たくさんの部屋が存在しているらしい。

各階が細かく部屋分けされ、その部屋ごとに記号が書き記してあった。

…。

…ここ、学校だと思ってたけど。

もしかして、学校じゃないのか?

だって学校にしては、各階の部屋数が多過ぎる。

学校の給食室じゃなくて…多分だけど、ここ…。

「…病院…?」

…そう考えるのが妥当。じゃないか?

自分、頭悪いから…はっきりしたことは分からないけど。

でも、もしかしてここ病院なんじゃないの?

この見取り図に丁寧に書き込んである記号…。多分、患者ごとに与える食事の内容が違ってるんだろう。

現実の、普通の病院でもそうだろ?

通常の病院食の患者、流動食の患者、お粥のみの患者、カロリー制限してる生活習慣病の患者…などなど。

患者別に、食べる食事の内容が違っている。

この病院でも、そうなんじゃないか?

さっき作ってた人間ミックスジュースを飲む患者と。

それから、冷凍庫に保管されていた、いかにも特別そうな冷凍胎児を食べる患者がいる…。

…どっちみち気持ち悪いけども。

多分…そう考えるのが妥当だろう。

ピカピカに磨かれた真っ白な廊下や、やたら厳重に施錠されていた窓も、病院と考えれば説明がつく。

患者の逃亡阻止の為だろ?

ってことは…この施設、黒衣人間ばかりじゃなくて。

各階の病室で、入院している患者もいるってことか…。

…あんな気色悪い「病院食」を与えられる患者なんだから、絶対まともな生き物じゃない。

患者の方もきっと、バケモノなんだろうよ。

つまり、自分達は…アレか。

バケモノ病院に迷い込んだ、って訳か。

…いやはや。こりゃまた…とんでもない悪夢をありがとう、ってね。