神に選ばれなかった者達 前編

…今頃、他の『処刑場』メンバー達も、この食人種の館(?)にいるんだよな。

今のところ、ふぁに以外のメンバーの姿を目にしてはいないが…。
 
多分、別の場所にいるんだろう。

捕まってなければ良いな…。捕まったら、彼らも人間ミックスジュースの材料に…。

いつ仲間と合流出来るか、それとも今回は合流出来ないか、それは分からないが。

仲間の為にも自分の為にも、少しでも情報を集めておきたい。

しばらく、ふぁには血生臭い厨房の中を見回していたが。

「…うわ…」

…見つけてしまった。冷蔵庫を。

普通の家庭に置いてある冷蔵庫じゃない。

もっと巨大な冷蔵庫。

業務用の、超巨大冷蔵庫である。

一体何日分の食糧を、何人分保管しているんだか。

それより気になるのは、何を、保管しているかだ。

しばらく躊躇ったけど。

別に失うものもないし、見てやろうじゃないか。

その巨大冷蔵庫の中身を。

意を決して、ふぁには冷蔵庫の扉を開けた。

…そこに入っていたのは、まぁ…予想通りのモノだった。

冷蔵庫だと思っていたけど、これはどうやら冷凍庫だったらしく。

扉を開けるなり、身体の芯まで凍りつきそうなほど冷たい冷気が漂ってきた。

そして、その冷凍庫の中には…まだ「解体」される前の人間が、氷漬けになって保管されていた。

…うわぁ…。 
 
男も女も関係ない。人間がただの食材として、冷凍保管されている。

…さっき、人間ミックスジュースの材料にされていたのは…この人達だったのか。

一体、何処から連れてこられた人達なのか。

冷凍庫の中では、ご丁寧に肉の部分と内臓の部分が分けられていた。

思わず「ひぇっ」と言いそうになったのは、眼球だった。

死体から取り外され、ビニール袋にまとめて保管された眼球が。

まるで、餌にされる無念を訴えかけてくるかのように、ギョロギョロとこちらを睨んできた。

…キモッ…。夢に出てくる不気味さだぞ、これ…。

…いや…今、実際夢の中なんだけど…。

更に、冷凍庫の下の段には、赤いペットボトルのような容器が、ずらりと並べられていた。

それが何なのか、考える必要はなかった。

血だ。

人間の身体から抜き取られた血。

それが、冷凍保存されている。

血液型ごとに分けられているのか、ペットボトルには異なる印がつけられたラベルが貼られていた。

…随分ご丁寧なことじゃないか。

「…ん…?」

更に、その大量の血液ペットボトルの横に。

大事そうに、蓋付きの巨大タッパーに保存されているものを見つけた。

…何だこれ。

見ない方が良い…と、本能が訴えかけてきたが。

ここまで来て、見ないで済ませる訳にはいかないだろう?

冷たいタッパーを、そーっと手に取って、こちらに引き寄せてみると。

そのタッパーに入っていたのは、人間の胎児だった。

生まれたばかり…いや、まるで臨月の妊婦の腹を裂き、取り出したばかりのように。

身体を丸めて、まだ目も開いていない、人間の胎児が…タッパーに詰め込まれて、冷凍保存されていた。

…気持ち悪くて、もう見てられないな。