神に選ばれなかった者達 前編

…死の痛みが、ようやく遠退いたかと思うと。

気がつくと、ふぁにはまた、廊下のど真ん中に立っていた。

…戻ったか。

「…」

人間ミックスジュースにされたはずのふぁにの身体は、完全にもとに戻っていた。

…まったく。また迂闊にも殺されてしまった。

夢の中でバケモノに殺されれば殺されるほど、現実が侵食されるというルールのせいで。

恐らく明日は、辛いことになりそうだな。

酷い目に遭ったよ。

だが、同じ轍を踏むことはしない。

ふぁには、トレーを乗せた給食カートを運ぶ黒衣人間から身を隠し。

さっきと同じように、そっと厨房の中を覗いた。

さっきは、ふぁにがここでリバッたせいで、隠れているのがバレた。

もう吐かないからな。

相変わらず、奴らの調理は気持ち悪かった。

中央の巨大ミキサーで、ドロドロの人間ミックスジュースを製造し。

それに加えて、大きな鍋で、クセの強そうな葉っぱ(野草?)をぐつぐつと似ていた。

ジュースに加えて、スープまで作ってんのか?

汁物ばっかじゃん。

だが、少なくともあの鍋には、人肉が入っていない。

それだけでも美味しそうに見えるから、ふしぎだよな。

あんなに不味そうな葉っぱが入ってるのに。

…しかし。

黒衣人間がかき混ぜている大鍋の中に、不意に、白いものが見えたような気がした。

…何だ、今の…。

その正体が何なのか理解した瞬間、ふぁにはまたしても、思わず嘔吐…しそうになったけど。

今度は、何とか堪え切れた。

今日以上に、自分の目が良いことを恨んだことはない。

大鍋の底に沈んだ白いもの。

それは、骨だった。人間の骨。

それも、頭の骨だ。…頭蓋骨。

人間の頭蓋骨を大量に、鍋に入れて煮込んでいるのだ。

…本気かよ?

豚骨ラーメンみたいなノリで?頭蓋骨で出汁取ってスープ作ってんの?

うぉえ…。…気持ち悪っ…。

黒衣人間達は、じっくり煮込んだ頭蓋骨スープを器に注いでいった。

…あんなものを、一体誰が食べるんだ?

給食トレーの上には、先程の人間ミックスジュースと、頭蓋骨スープ。

それから、気持ち悪い謎の実(多分果物)を、半分にカットしたものを盛り付けた。

果物って言ったら、普通瑞々しくて…綺麗な色をしてて、甘さと酸味があって…っていうイメージがあるだろう?

でも、あの果物は…残酷な色をしてる。

皮はカビでも生えてんのかっていう、コケみたいな色。

果実の部分は、果物にあるまじき暗褐色で、ドロドロの膿みたいなものが垂れていた。

おまけに、凄い腐臭がここまで漂ってくる。

…キモッ…。