神に選ばれなかった者達 前編

声を出さなかった自分を、本気で褒めたい。

…こいつら、一体何を調理しようとしてるんだ。

更に、ゲテモノ食材は人間の腕だけじゃなかった。

人間の両脚や、肩、首、尻など。

どれも出刃包丁でぶつ切りにして、ミキサーに放り込まれていく。

あとは、どの部分かもよく分からない、肉の塊も。

…多分、胴体を輪切りにしたものなんだろう。

更に、二人の黒衣人間が、重そうなビニール袋を運んできた。

そのビニール袋を、ミキサーの中にぶち撒ける。

凄まじい異臭が、ここまで漂ってきた。

思わず顔をしかめ、鼻を両手で覆った。

ビニール袋の中身は、赤黒い臓物だった。

人間の臓物。

心臓、肝臓、胃、肺、眼球も全部ミックスされている。

一瞬ヘビのように見えたのは、あれは大腸や小腸なのだろう。

それらを全部、溢れ出た血と一緒に、まとめてミキサーに投入する。

そこに、別のまな板で切り刻んだ野菜らしきものと、味付け用?の粉みたいなものを投入。

材料を全部入れ終えたのだろう。

黒衣人間達はミキサーから離れて、一人がミキサーのスイッチを押した。

そこから先の光景は、人間が見るものじゃあない。

ミキサーの鋭利な刃が、投げ込まれた「材料」達をすり潰し、ミンチにした。

人間の腕も、足も、輪切りの胴体も臓物も、血も骨も全部。

全てが混ざり合って、ドロドロの、濃いピンク色のジュースのようになるまで、ミキサーをかけ続けた。

ようやくミキサーが止まった時には。

最早、人間の肉が投げ込まれた形跡は何もなくなっていた。

ただの、ドロドロのジュースだ。

…ただし、とんでもない匂いがするが。

出来上がったグロジュースを、黒衣人間達は、大きな柄杓で器に盛り付けていった。

…嘘だろ、おい。

あれを食べるのか?なぁ…。お粥感覚で?

そのあまりのおぞましさと、凄まじい異臭のせいで。

ふぁには、思わずその場に嘔吐した。

「うぇぇ…。ぐぇ…」

飢えに耐える為に、野菜の皮だろうと、残飯だろうと、平気で食べてきたふぁにだが。

さすがに、あれは絶対に無理だった。

ふぁにだけじゃない。どんな怖いもの知らずのゲテモノ食いだって、あれは無理だ。

だってあれは…人間なのだから。

人間のミックスジュース。

そんなものを口にするということは、人間をやめるということだった。

…すると。

「…!!」

ふぁにが嘔吐する音が聞こえたのだろう。

厨房の中にいた黒衣人間が数人、一斉にこちらを向いた。

…あ、しまった。