神に選ばれなかった者達 前編

…そうして今夜もまた、夜がやって来た。

終わったと思ってたけど、今日もゾンビ軍団と戦わされたら嫌だな…と、内心ちょっとハラハラしていたのだが。

「…おっ…」

夢の中で気がつくと、そこはもう、ゾンビの溢れる学校ではなかった。

昨日までとは、全然違う景色。

すげー…。なんかめっちゃ新鮮。

たまには景色を変えてくれないとな…。ずっと同じ夢じゃ飽きるよ。

それにしても、ここは一体何処なんだろうな?

ふぁには、きょろきょろと周囲を見渡した。

今回は屋外じゃない。屋内だ。

真っ白い、清潔な廊下の真ん中に立っていた。

…何処だろう、ここ。なんかの施設?

やけに綺麗な廊下だな…。学校ではなさそう。

学校の廊下って、なんかちょっと薄汚れてるイメージ、ない?

え、ない?それはお前の学校が汚いだけ?

はぁ、済みません。

じゃ、ここも学校なのかな…。昨日までの学校とは、また別の場所のような感じ…。

…すると。

「…うん?」

廊下の窓を見て、ふぁには足を止めた。

廊下に窓がついてるのは、さして珍しいことじゃない。

しかしあろうことか、その窓には鉄格子が嵌められていた。

ここから出ることは許さん、と言わんばかりの鉄格子。

真っ白で清潔な廊下に、ガッチリと嵌められた無骨な鉄格子は、何だか不釣り合いな気がした。

試しに、窓を開けてみようとしたのだが。

窓には鍵がかかっていた。

たかが窓の癖に、ちゃんと鍵穴があって、鍵を入れて回さないと開かないようになってる。

凄いな。こんな厳重な窓、初めて見た。

何が何でも勝手には開けさせない、という強い意志を感じる。

ここの施設の窓、全部がそうなんだろうか?

転落防止…にしては、厳重過ぎるような気がしなくもないが…。

ここ、何階なんだろう?

もし10階とか15階とか、めちゃくちゃ高い位置にあるなら、ここまで窓が厳重に施錠されているのも分かる。

たかが小石だとしても、10階から落としたら、洒落にならない威力になるからな。

それで、こんなに厳重に封じているのかもしれない…。

…と、思いながら、窓からそうっと外を見ると。

「…えっ」

窓の外は、すぐ地面だった。

…10階どころか。ここ1階じゃん。

さすがに1階から飛び降りても、余程下手して転ばない限り怪我はしないと思うぞ。

それなのに、何でこんなに厳重に窓を…。

まるで、何かが逃げるのを阻止しているかのように…。

…その時。

「…!」

廊下の向こうから、ゴロゴロと、何かを引き摺るような音が聞こえてきた。