神に選ばれなかった者達 前編

皮肉だよなぁ。

現実ではボッチなのに、夢の中では生贄仲間に会えるんだから。

むしろ、ふぁににとってはある意味で、夢の中の方が快適なのかもしれない。

夢の中ならいじめられないし。つまんないことでからかわれたり、笑われたりもしないし。

ふぁにと話が合いそうな生徒は、一人もいないけどな。

不良高校は、まさに噂に違わぬ不良っぷり。

高校生の分際で、金髪だの茶髪だのに髪を染めるのは当たり前。

むしろ、金髪なら可愛いもんだよ。

ピンク髪に染めてる生徒もいる。

ピンクってお前。何人だよ。

ジャラジャラと重そうなネックレス、ブレスレット、指輪、ピアスなどをつけて来る奴もいるし。

授業中でも、関係なしに飲み食いしてる奴もいるし。

女の子は女の子で、学校に大量の化粧品や、ヘアアイロンとやらを持ち込んで、顔や髪の毛のお手入れに余念がない。

鞄の中、教科書や文房具より化粧品の方が多いんじゃね?って思うくらい。

実際、まともに授業を受けてる生徒なんて、数えるほどしかいない。

授業中でもお構いなしにぺちゃくちゃ喋ってたり、スマホで動画を観たり、そうでなければ机に突っ伏して寝てる。

まったく、学校を何する場所だと思ってんのか。

生徒がそんな調子だから、教師の方もやる気がないらしく。

授業は大体、教科書を棒読みして終り。

あるいは、「今日は自習にします」と言って、先生は先生で自分の持ち込んだ仕事をやって、まともに授業をしないこともしばしば。

まー、あれだけ生徒がやる気なかったらなぁ…授業やる気にもならないよな…。

ふぁには…ちょっとくらい真面目に勉強したいんだけどな…。

仕方ないから、ひたすら教科書を読むことに没頭している。

自主勉強したくても、参考書や問題集を買うお金もないからな。

それでも、高校に行かせてもらってんだから、それで良しとしよう。

ふぁにはそう納得して、毎日学校に通っている。

楽しい毎日ではない。決して。

でも、小・中学校よりはマシ。

小学校は昔、とある問題を起こしたせいで、クラスメイトと上手く行ってなかった。

中学校も…地元の公立中学だったせいで、クラスメイトのほとんどが小学校の頃の持ち上がり。

そのせいで、小学校の時と同じように、中学校になってもいじめが続いた。

いじめられて傷つくことはなかったけど、正直鬱陶しかった。

そんな下らないことやってる暇があったら勉強しろよお前ら、って何度思ったことか。

ほんとーに面倒臭かった。

その点、この高校は良い。

底辺校であるお陰で、中学校の時からの知り合いはほとんどいない。

皆無って訳じゃないけど、そいつとはクラス違うし。

煩わしい人間関係をリセット出来たので、今は毎日快適だった。

今もクラスメイトにからかわれたり、笑われはするけど、いじめられてはいないし。

それだけで、ふぁににとっては天国。

学校がそれほど苦痛じゃなくなるなんて、願ってもない機会だよ。

底辺校万歳。なんてね。