神に選ばれなかった者達 前編

ふぁには、手元にあった携帯電話を手に取った。

今時使ってる奴いるのか、ってくらい古臭いガラケーである。

良いだろ?なんかレトロな感じして。

最近ほら、レトロブームの波が来てるじゃん?

…っていうのは冗談で。

ただ単に、ふぁにの行動を見張る為の道具だ。

これを持ってたら、ふぁにが何処にいるのか分かるから。

ガラケーで不便じゃないのか、って?

さぁ…。ふぁには生まれてこの方、これしか持ったことないから分からんね。

高校のクラスの皆は、当たり前だけど、スマホを所持している。

スマホ二台持ちとか、タブレット、自分のノーパソを持っている奴も少なくはない。

贅沢な話だよなぁ。

ふぁになんか、何世代も前のふるーいガラケーオンリーだぞ。

メールも出来なくて、通話しか出来ない。

画面はヒビが入ってるし、ボタンはいくつか壊れてて反応しないし。

バッテリーもイカれてて、フル充電してても数時間で死ぬ。

それでもふぁににとって、このガラケーは命綱みたいなものだった。

だってふぁにが『処刑場』の仲間と連絡が取れるのは、このガラケーのお陰だから。

古びたその画面を開くと、『処刑場』の掲示板が開かれていた。

…結局このアプリって、何なんだろうな。

生贄に選ばれた者の電子機器に、自動的にインストールされる仕組みになってるらしい。

通話以外何も出来ないはずのこのガラケーで、掲示板に書き込みが出来るのもおかしな話だが。

ま、そんなことは今更気にしても仕方ないよな。

そういうもんだと諦めるしかない。

理不尽な目に遭う度に、その理由を探していたらキリがない。

理由のない不幸も、世の中にはあるんだ。

…すると。

「…お」

早速、掲示板がリアルタイムで更新された。

『天使ちゃん∶昨夜はお疲れさん

天使ちゃん∶ゾンビ共を倒せたのは、皆の協力のお陰だ。ありがとう』

…だってさ。

李優君…。前から思ってたが、あんたさんは真面目過ぎだよ。

言い方はアレだが、別にふぁには、あんたさんの為にゾンビと戦った訳じゃない。

奴らを殺さなきゃ、殺されるのはこっちだからさ。

死ぬのが嫌だから戦っただけだ。

まぁ…そんなことはいちいち口には出さないが…。

すると。

『きょうや∶礼は必要ない。

きょうや∶自分の為にやったことだ』

と、響也君が。

…あんたさんも真面目だなぁ。

そんな真面目だと、この先苦労するぞ。