神に選ばれなかった者達 前編

俺が一瞬口ごもったのを、拒絶の意だと勘違いしたのか。

「あ、ごめん…。響也兄ちゃんが忙しいなら、俺は後でも…」

眞沙は俺に気を遣って、引き下がろうとした。

「いや、良いよ…。俺で良かったら」

「そっか…。じゃあ…あれ?」

あれ?

眞沙は、俺のベッドサイドのスマホを指差した。

「響也兄ちゃん、スマホつけっぱなしだけど…。誰かから連絡でも来たんじゃないか?」

「え?」

眞沙に釣られて、自分のスマホを見ると。

驚いたことに、何故かスマホの画面がつけっぱなしになっていた。

勿論、俺は寝る前にスマホをつけた覚えはなかった。

帰った後、学生鞄のポケットから取り出して、ベッドサイドに置いて。

そのまま、朝まで放置していた。

スマホの画面を覗き込む。

誰かから連絡が来て、それで画面が点灯したのではなかった。

俺に連絡してくる人間がいるはずがない。

驚いたのは、例のアプリだった。

『処刑場』というあのアプリが、また復活していた。

…これ…。

「…眞沙、これ、何か知ってるか?」

俺は、眞沙にそう尋ねた。

「え…。これって?」

「このアプリ…数日前から勝手にインストールされてて、何度消しても復活してるんだ」

消しても消しても現れる。

まるで、しつこい油汚れのよう。

「そんなことあるのか…?どんなアプリなんだ?」

「さぁ…。それは分からない」

何度もアンインストールはしているが、起動したことは一度もないからな。

こういうのって、起動したら最後、おかしなウイルスに感染して。

俺の居場所が割れたり、個人情報が知られたり、その個人情報を不正利用されたり…。…するんじゃないのか?

…仮に俺のスマホを勝手に使われたとして、それほどデメリットはないように思えるが。

「そうか…。まぁ、下手に触って、ウイルスに感染しても嫌だもんな…」

「果たして、これはどうしたら良いと思う?」

二日続けて夢見は悪いし、おまけに奇妙なアプリもインストールされてて…。

ろくなことにならないな。

「素直に携帯ショップに持っていって、相談したら?」

「そうだな…。…分かった、そうしてみる」

正直、今はあまり外出したくはないのだが。

個人情報を不正利用される前に、心配事は一つでも解消しておくべきだな。