神に選ばれなかった者達 前編

…ようやく心臓が止まってくれた。

ようやく死んで、全ての痛みから解放された。

薄れゆく意識の中で、何でこんな目に遭うんだ、と思った。

たかが夢の中じゃないか。

現実で、良い思いをさせて欲しいなんて贅沢を言った訳じゃない。

夢の中でくらい、楽しい気分にさせてくれよ。

それさえ駄目なのか。そんなことさえ、自分には許されないのか?

さっきまであんなに高揚していたのが、嘘みたいだった。

現実もあんなに辛いのに、夢の中で死の痛みを味わうなんて、冗談じゃない…。




「…あれ…」

気がつくと、ほたるは再び、海の底にいた。

先程見たのと、まったく同じ景色…。

…もう、分かるだろう?

ほたるは悪夢を見るようになった。

それは、バケモノを倒すまで終わりのない戦いの悪夢。

ほたるは永遠に、それを繰り返すことになったのだ。

その一晩のうちに、抵抗も出来ないまま、ほたるが何度殺されたか。

恐らく、想像に難くないと思う。