神に選ばれなかった者達 前編

すると。

わらわらと、別のクラスメイトも集まってきて。

段ボール箱に詰められたほたるを取り囲んで、わざとらしく両手を合わせた。

「それじゃ、お経を読みまーす」

と言って、主犯格のいじめっ子が、適当な言葉をお経っぽく読み始めた。

「りん、とー、しょー、えー、かい、そー」みたいな。

それはお経とは言わないんだけどな。

まぁ、でもお経っぽくはある。

そのあまりのちぐはぐさに、クラスメイトは大爆笑だった。

一方のほたるは、何がなんだ分からなかった。

窮屈な姿勢で押し込められているのが辛くて、思わず起き上がろうとしたが。

いじめっ子に、思いっきり拳骨を食らった。

「おい、大人しく寝てろよ。お前死体だろうが」

「…!?」

いや、死体じゃないんだけど。というマジレスは置いといて。

その時点でほたるは、今目の前で行われている「葬式ごっこ」の意味を理解した。

この段ボール箱は、棺桶の代わり。

自分は葬式ごっこの死体役だから、棺桶に閉じ込められている。

机の上に置いてあった、あの下手くそな似顔絵は、遺影の代わり。

自分は今、死体になって、お葬式を挙げられているんだ。

一本立てられている鉛筆と、一握りの砂の意味は、ほたるには分からなかったが。

ふぁにが推測するに、あの鉛筆は、多分お線香の代わり。

で、砂は…ご焼香の代わりだったんじゃないかな。

…そう思うと、子供のごっこ遊びにしては、なかなか巧妙に考えられてるなって。

不覚にも、ちょっと感心してしまったけども。

ほたるにしてみれば、何で自分が死体役をやらされてるのか分からないし。

こんなことをして、何が楽しいのかも分からない。

ふぁににも分かんないや。

葬式ごっこって、何が楽しいんだ?

さっぱり分からないけど、クラスメイト達は大爆笑だった。

すると、そこに。

「おーい、お前ら。そこに集まって何やってるんだ?」

担任の先生が、教室に入ってきた。

ほたるは咄嗟に、「助かった」と思った。

こんな陰湿な、くだらない遊び。

先生なら、きっと止めてくれると思ったのだ。

「今、葬式をやってるんです」

「面白いでしょ?」

いじめっ子達は、悪びれもせずに答えた。

すると担任の先生は、段ボール箱に詰め込まれたほたると、机の上の似顔絵(遺影)や、鉛筆(お線香)などを見て。

それから、腹を抱える笑った。

「あぁ、成程…。お前ら、よく考えたなー」

何それ。褒めてんの?

先生にまで褒められて、ご満悦のいじめっ子達。

一人ほたるだけが、現実を受け止められずに愕然としていた。