神に選ばれなかった者達 前編

そろそろお腹いっぱいかな?

気分が悪くなるから、これ以上いじめエピソードは聞きたくない?

そっか。

じゃあ最後に、とっても気分の悪くなるエピソードを紹介しよう。

その名も、「葬式ごっこ」である。

鬼ごっこ、ヒーローごっこなら聞いたことがあるが。

葬式ごっこって何だよ?って思ったことだろう。

もしかして、最近子供達の中で流行りの遊びなんだろうか、って。

違う。流行ってるのはほたるのクラスだけだ。

朝学校に来たら、自分の机の上に花瓶が置いてある、っていう典型的な嫌がらせがあるが。

あれの進化系みたいなものだ。

ある日ほたるが学校に行くと。

ほたるの机の上に、花瓶と、それから画用紙が一枚。

それに、鉛筆が一本立っていた。

更に、外の砂場から取ってきた砂が、一握り。

「…?」

ほたるは、不思議そうにその光景を見つめた。

今日はどんな方法でいじめられるのか、と戦々恐々としていたところに、この不意打ち。

どう反応したら良いのか分からないほたる。

恐る恐る周囲を見ると、いじめっ子達がにやにやしながら、こちらをチラチラ見ている。

それは、何か企んでる顔だ。

鈍いほたるでも、すぐにピンと来た。

画用紙には、下手くそな似顔絵が描いてあった。

顔のパーツがバラバラで、わざとバケモノみたいに描かれていたけど。

その似顔絵の下に、ほたるの名前が書いてあった。

だからこの似顔絵が、ほたるを描いたものなんだと分かった。

絵心がないにも程がある。

困惑するほたるをよそに、いじめっ子の主犯格がこちらにやって来た。

ほんの少し前まで、ほたるにゲームを買ってもらって、「お前は俺の一番の親友だよ」と言ってくれた子だった。

その親友が、今はほたるをいじめる主犯格になっていた。

「それじゃ、これからお葬式を始めまーす!」

「…!?」

唐突な葬式宣言に、ほたるは呆然とした。

「棺桶持ってきてくれ」

「はいはい」

いじめっ子が指示すると。

教室の後ろから、大きな段ボール箱が運ばれてきた。

何処から持ってきたのか。その段ボール。

「ほら、さっさと横になれよ。死体」

「えっ…!?」

死体って何のことだ。葬式って何?

ほたるは何が何だか、訳が分からなかった。

しかし。

「ほら、早くしろって!」

「…!」

いじめっ子に、背中をドンッと押され。

ほたるは、無理矢理段ボール箱の中に押し込められた。

いかに大きな段ボール箱と言えど、人が一人入る大きさなどない。

ほたるは膝を曲げ、背中を曲げて、胎児のような姿勢で段ボール箱の中に押し込められた。