神に選ばれなかった者達 前編

食べさせないのも辛いけど、無理矢理食べさせられるのも辛い。

ほたるに食べさせない、といういじめに飽きたのか。

その日いじめっ子給食係は、ほたるの食器に、これでもかとおかずをてんこ盛りにした。

そのメニューは、皆が嫌いなセロリサラダだった。

セロリ美味いけどなぁ。

でも、小学生の給食のメニューに、セロリを使うのは…さすがにどうかと思う。

せめてしっかり加熱して、濃い味付けをして、セロリ特有の風味を消して…という手間をかけてくれれば、何とか食べられなくもないが。

セロリをそのまま、ナマで使ったセロリサラダ。

一応ドレッシングはかかっていたけど、「これ本当に味付けてる?」って聞きたくなるくらい、うっすいお味のドレッシング。

セロリの風味をたっぷりと楽しめる、超大人の味なセロリサラダ。

子供が喜ぶメニューとは思えない。

給食でたまにある、ハズレメニューって奴だ。

セロリ好きな人、ごめんな。

当然、大量に余りが出てしまうはずだったが…。

あろうことか給食係は、そのセロリサラダを大量に、ほたるのお皿に盛った。

「ほら、お前これ食えよ」

にやにやしながら、給食係はお玉で何杯も、食器にセロリサラダをよそい。

それを、ほたるのお膳に置いた。

ほたる、びっくり。

ふぁにはセロリ好きだけど、ほたるは他のクラスメイト同様、セロリが嫌いだった。

嫌いなものでも、食べ物なら何でも選り好みせずに食べるようになった…とはいえ。

何事にも、限度ってものがある。
 
こんな大量のセロリサラダ、いくらセロリが好きな人でも、そればっかり大量に食べさせられたら、誰だって飽きる。

他におかずがあればまだしも、他のおかずはクラスメイト達が全部食べてしまって。

残っているのは、セロリサラダだけ。

これには、ほたるも抗議しようとした。

食べられないよりはマシなのかもしれないけど。

だからって、セロリばっかり食べたいなんて言ってない。

どうせならカレーとかシチューとか、そういう花形メニューを大量に盛ってくれよ。

…って、そういう当たりのおかずは、他のクラスメイトも食べたがるからな。絶対余らないように出来てるんだよ。

「な、何で…」

ほたるは、蚊の泣くような声で抗議した。

ふぁにだったら、こんな理不尽なことされたら。

セロリサラダの皿をいじめっ子の顔面に押し付けて、「てめーが食え!」って言ってただろうけど。

いや待て。それは食べ物が勿体無いから駄目だ。

いずれにしても、もっと強く抗議していたと思う。

それなのに、ほたるの抗議はこんなにもささやか。

「は?何だよ。なんか文句でもあるのか?」

このセロリ山盛りのお皿を見て、文句を言わない奴がいるなら紹介してくれ。

きっとそいつは、とんでもないセロリ狂だ。

「だ、だって…こんなに、たくさん…」

「良いじゃん、腹減ってんだろ?お前、いつもがっついてんじゃん」

「そうそう。誰よりも先に食べ終えてるもんなー」

他のクラスメイトにも煽られて、恥ずかしさと居たたまれなさで、真っ赤になるほたる。

…誰よりも先に食べ終えてるのは、お前らが米粒一粒しかよそわないからだろ、と言いたかった。