神に選ばれなかった者達 前編

で、いじめの話に戻るけど。

ほたるが給食をがっついているのを、最初の頃は特に気にせず見ていたクラスメイトだが。

いじめっ子達は、その給食に目をつけた。

具体的に何をしたのかと言うと…ほたるに、給食を食べさせなかった。

ほたるがお腹を空かせているのを分かっていながら、いじめっ子の給食係は、ほたるの食器に食べ物をよそわなかった。

ほたるの学校では、クラスメイトが空の食器を取って、列に並び。

週替わりで当番が変わる給食係が、おかずやご飯の入った大鍋から、その空の食器に平等に食べ物をよそい、渡す。

と、いうシステムだった。

まぁオーソドックスな感じだよな。

給食係を生徒自身が務めるパターン。

あれって、先生がよそってあげるパターンもあるんだろ?

地域差あって面白いよな。

…って、おもしろかねーよ。いじめの話だぞ。これ。

他のクラスメイトには、ちゃんとお玉一杯、器によそって渡してあげるのに。

ほたるの番が来ると、まだ鍋の中にいっぱいおかずが残っているのに。

ご飯もいっぱい残っているのに、ほたるの食器には、ほんのちょびっとしか食べ物をよそわなかった。

酷いもんだぞ。

八宝菜のにんじん一欠片だけ、とか。

焼きそばの具のもやしを1本だけ、とか。

春雨サラダの春雨が2センチくらい、とか。

食べ物の欠片をほんのちょっと、器にちょこんと乗せるだけ。

ご飯もそう。お茶碗の中に、白米をティースプーン1杯分だけ、とか。

それならまだ良い方で、米粒を一粒だけよそわれたこともあった。

米粒一粒って。雀の餌にしてももうちょっと食べるだろ。

お洒落なお店あるあるで、でっかい皿にちょびっと乗せる料理、あるじゃん?

あれより酷いよ。

ほたるには、そんな残りカスみたいな食べ物しかよそわない癖に。 

他の生徒には、ちゃんとお玉一杯のおかずをよそってあげてるんだから。

不平等極まりない。

食べ物がほんのちょっと乗っただけの、ほぼ空っぽの食器を見下ろして。

ほたるはびっくりして、そして当然、抗議しようとした。

「え…。あの…これ…」

「は?何?」

いじめっ子給食係は、抗議の声を上げようとしたほたるを睨(ね)め付けるように見た。

思わず、怯えて黙り込みそうになったが。

食べ物の為には、ほたるも簡単には引き下がれなかった。

「だって…これ…何で、こんなに少ないの…?」

この、おどおどとしたほたるの態度が問題なんだよな。

ふぁにだったら、もっとはっきり言ってやるのに。

「お前、これで足りると思ってんの?」とか。

しかし、ほたるにはとても、そんな度胸はなかった。

だから、ほたるはいじめっ子に舐められてしまうのだ。

「なんか文句あるのかよ?」

「えっ…。あの…それは…」

ほんのちょっと凄まれただけで、何も言えなくなってしまう雑魚ほたる。

それを良いことに、いじめっ子はにやり、と笑った。

人を馬鹿にする時の笑みだった。