神に選ばれなかった者達 前編

火は全てを巻き込み、ついには校舎全体が燃え始めた。

すべてのゾンビ達が燃えた訳ではない。

火に巻かれながらも、身体中を手榴弾の破片に突き刺されながらも、燃える校舎から逃げ出してくるゾンビもいた。

しかし、その数は多くなかった。

逃げ延びたゾンビを、ふぁにさんが離れたところから弓で射った。

それでも逃げてきたゾンビは、萌音さんが包丁で刺し、お兄ちゃんが鉄パイプで殴って殺した。

ぷちぷちと、虫を潰すようなものだった。

そして。

燃え盛る校舎から出てくるゾンビは、一体もいなくなった。

「…お兄ちゃん」

「…うん」

お兄ちゃんが、私の手をぎゅっと握った。

…ゾンビの粘液がついた手で。

私は、その手を強く握り返した。

「…終わったね」












空に望みを託すとてⅡ END