神に選ばれなかった者達 前編

お友達のお母さんが、頑張って場の空気を変えようとしてくれたのだが。

空気って、一度凍りつくと、簡単には戻らないものなんだね。

その後皆でハッピーバースデートゥーユーを歌って、ろうそくを吹き消し。

誕生日のメインイベントである、誕生日ケーキを食べ、お菓子を食べ。

普段こんな甘いものを口にする機会のない私は、ケーキとお菓子の甘さに、思わず舌が震えたものだが。

他のお友達は、なんとも微妙な表情をしていた。

主賓である女の子も、何だか白けた感じで。

さっきまであんなに楽しくお誕生日会をしていたのに、今ではすっかりお通夜みたいな雰囲気。

ケーキを食べ終わると、誰ともなく、「今日はもう帰るね」と言ってお開きになった。

最後にお友達のお母さんが、たくさん余ったお菓子を、可愛らしいビニール袋に入れ、お友達一人一人に分けてくれた。

私にも、ちゃんとくれた。

「のぞみちゃん、どうぞ」って。

で、そのお土産をもらって、その日は解散。

帰る時になっても、私に話しかけてくる子は一人もいなかった。

仕方ないから、私は一人で歩いて帰ることにした。

しかし。

お友達の家を出て、最初の角を曲がった時。

私は、ふとお土産のビニール袋を見下ろした。

今日の誕生日パーティで余ったお菓子を、お友達のお母さんが皆に平等に分けてくれたのだけど。

何故だか、私の分は妙に多いような気がした。

…あれ?何だか多くない?

お友達のお母さん、間違って私のだけ多く入れちゃった?

もらい過ぎは良くないよね。

今すぐ引き返して、余剰分を返そう。

そう思って、くるりと振り向いて一歩を踏み出しかけた、その時。





「ねぇ、見た?のぞみちゃんのプレゼント」

「見たよ…。あれはないよね…」

「雑草をプレゼントするなんて、何考えてるんだろ?」

…!

私がもう帰ったと思って、誕生日パーティに参加したお友達が、ひそひそ話しているのが聞こえてきた。

「冗談かと思ったのに、本気だったんだよね…?」

「有り得ないよね…。幼稚園児じゃないんだから」

「あんなのゴミじゃない。もらったって捨てるしかないよね」

…。

私は、黙ってその会話を聞いていた。

…幼稚園児…。…ゴミ…。

その時、私は知った。

私にとってもらって嬉しいプレゼントでも、あの子達にとってはゴミなんだって。

「あーあ。のぞみちゃんのせいで、今日は散々だったよね」

「ほんと。今度から、のぞみちゃんを誘うのはやめようね」
 
「ね、お陰で台無しだよ」

「のぞみちゃん家って、貧乏なのかな?」

「知らない。プレゼントも用意出来ないくらい貧乏なら、お誕生日会になんて来なきゃ良いのに」

「そうだよね」

口々に文句を言いながら、彼女達は去っていった。