神に選ばれなかった者達 前編

秋本君が調べてくれたお陰で、無事、手榴弾に関する本を手に入れた。

良かった。これ、帰ってから読もう。

私に理解出来る内容だったら良いんだけど…。

…猿でも分かる、って明記してあるんだから、私でも分かると信じよう。

目的の本が見つかって、ほくほくしながら家に帰ろう…と、思ったら。

「あ、のぞみだ。いたいたー」

「ん?」

振り向くと、そこに仲良しのクラスメイトがいた。

「もう帰っちゃったのかと思ったよー」

「図書室に行ってたの。今から帰るところよ」

早く家に帰って、この本を読んで確かめないと…。

…しかし。

「ねぇのぞみ、これから一緒にスタボ行かない?」

「…すたぼ?」

…って、何?

「え?のぞみ、スターボックス知らないの?コーヒーショップだよ」

あー…そういえば。

なんか聞いたことあるな…。…行ったことはないけど。勿論。

お洒落なお店なんでしょ?

「コーヒーください」って言ったら、「どちらのコーヒーにされますか?」って聞かれるんでしょ?

コーヒーはコーヒーだよ。

それに私、コーヒーって好きじゃない。

そもそも、飲んだこともほとんどないしね。

何でわざわざお金を払って、あんな黒くて苦い液体を飲みたがるのか理解に苦しむ。

…やっぱり、綺麗なお水が一番美味しくない?

そう思ってしまうのは、私の育ちが貧しいせいだろうか。

しかし、クラスメイトが勧めてきたのは、コーヒーどころではなく。

「今から皆で、期間限定塩チョコミルクキャラメルフラペチーノを飲みに行くんだけど」

「塩…チョコ、え、何?」

それは何味なの?塩味?チョコ味?ミルク味?キャラメル味?

色んな足が混ざり合ってて、大渋滞起こしてそう。

っていうか、ふらぺちーの、って何?

何だか、何処かの貴族みたいな名前…。

エリザベス・ド・フラペチーノ夫人、みたいな…。…いそうじゃない?

「よく分からないけど、私は遠慮しとくわ…」

「えっ、何で?今回の新作は『当たり』だって、SNSでも人気なのに」

あらそう。それは良かったね。

でも、私は少しもそういうものに心を惹かれない。

当たりだろうと外れだろうと。

まったくお金持ちと来たら。

家に帰って蛇口を捻れば、飲める水がいくらでも出てくるっていうのに。

それだけでも、私にとっては物凄く羨ましいことだ。

それなのにどうして、わざわざ飲み物の為にお金を払うんだろう。

「えー。つまんないな…のぞみって、付き合い悪いよねー」

「悪かったわね」

「まぁ、今日は別に良いけど…。来週は来てくれるよね?」

…来週?