神に選ばれなかった者達 前編

出来れば、秋本君が勧めてくれた本を借りたいんだけど…。

「ちょっと…今日は調べ物をしたくて…」

「あ…そうだったの?それは…気づかなくてごめん」

いや、秋本君が悪い訳じゃ。

「何について調べるの?」

「それがちょっと…。見つかるかどうか分からないんだけど…」

「そう?それじゃ…検索機で探してあげようか」

あ…そうしてもらえると助かるかも。

ジャンルが分からなくて困ってたところだから。

「うん…。お願い出来るかな」

「良いよ。それで、調べ物って何?」

「えっと…」

言わなきゃ駄目だよね。…当然。

私はちょっともじもじしてから、正直に打ち明けた。

「あの…。…手榴弾」

「えっ?」

「手榴弾について調べようと思って…」

「…」

…どうしよう。秋本君、固まっちゃってる。

「しゅ…りゅう、だん?って…そんな作家がいるの?」

ごめん。作家じゃないの。

「知ってるかな…。その、戦争中に使われてた武器で…。手榴弾…」

「あ、その手榴弾か…。爆弾の…」

「うん、そう…」

「…何でそんなもの調べてるの?」

…当然の疑問だよね。

まさか、その手榴弾でゾンビを倒す為です、とも言えず…。

「え、えーっと…その…お、お兄ちゃんが」

ごめんなさい、お兄ちゃん。

卑怯な私は、またお兄ちゃんのせいにしちゃいます。

「兄がね、その…。手榴弾について調べてみたいって…」

「そ、そうなの…?ゾンビに続いて…?随分と…なんていうか…変わった趣味のお兄さんだね…」

「…うん…。まぁね…」

今のところ私のお兄ちゃん、ゾンビと手榴弾に興味を持つ怪しい趣味の人、って思われてるよね…。

…全然そんなことないんだよ。濡れ衣なの。

「調べてみるけど…。…そんな本あったかな…」

「な、なかったら別に良いのよ…」

秋本君は検索機に、「手榴弾」と打ち込んで検索。

すると。
 
「あ…1件あった」

「ほんと?」

あるんだ。良かった。

あとは、それが私の求める内容の本だったら万々歳…。

「えぇと…『猿でも分かる!手榴弾の使い方』だって」

「…!…出たわね、そのシリーズ…」

ゾンビの倒し方、のみならず。

今度は手榴弾の使い方まで。なんて頼もしいシリーズだろう。

まるで私達を助ける為に作られたような本だ。

「ま、まさかこんな本が存在していたなんて…。世界は広いな…」

「…そうね…」

私達以外にも需要があるってことなのかな…。…分かんないけど。

でも、助かったわ。