トカゲを手のひらに乗せて、廊下を歩き、階段を降りている時に、一時間目の授業の開始を告げるチャイムの音が鳴り響いた。
だが、俺は足を止めなかった。
校舎を出て、校舎の前に並ぶ花壇に向かった。
ゴミとして捨てるのは、あまりに気の毒なので。
せめて、柔らかい土の中に埋めて、埋葬してあげようと思って。
…こんなことされても、トカゲは全然嬉しくないだろうけどな。
だけど、俺にはこれくらいのことしかしてやれない。
俺は、素手で花壇の土に穴を掘り、そこにトカゲを横たえた。
その瞬間、内臓がはみ出した姿が、昨夜の自分の夢と重なった。
思わずゾッとして、俺は頭を振って悪いイメージを振り払った。
…トカゲと自分を重ねるなんて、どうかしてる。
急いでトカゲの死骸の上に土をかけ、手でしっかりと押さえて、土を固めた。
…悪かったな。俺のせいで。
せめて安らかに眠って、生まれ変わったら、今度はコモドドラゴンとかになって。
シカかイノシシに生まれ変わった雨野リリカを、復讐とばかりに食べてやってくれ。
トカゲの成仏を祈って、俺は校舎の中に入った。
すると、そこに別の教師が通りかかった。
手を泥まみれにしている俺を見て、怪訝そうな顔をした。
「ちょっと。何してるの?もう一時間目の授業が始まってるでしょ」
「あぁ…。…はい」
「さっさと教室に戻りなさい」
授業をサボろうとしているように見えたのだろうか。
そんなはずがないことは、俺の汚れた手を見れば一目瞭然だろうに。
呆れたようにそう言って、その教師はさっさと立ち去った。
…別に、「どうしたの」とか、「何があったの?」とか、そういう言葉をかけてくれることは期待していない。
そう。俺は、誰にも何も期待しない。
誰かが、俺に何も期待しないように。
他人の好意を期待するのは、それは傲慢だ。
またクラスメイトに笑われるだけだと分かっていながら、俺は自分の教室に歩いて戻った。
だが、俺は足を止めなかった。
校舎を出て、校舎の前に並ぶ花壇に向かった。
ゴミとして捨てるのは、あまりに気の毒なので。
せめて、柔らかい土の中に埋めて、埋葬してあげようと思って。
…こんなことされても、トカゲは全然嬉しくないだろうけどな。
だけど、俺にはこれくらいのことしかしてやれない。
俺は、素手で花壇の土に穴を掘り、そこにトカゲを横たえた。
その瞬間、内臓がはみ出した姿が、昨夜の自分の夢と重なった。
思わずゾッとして、俺は頭を振って悪いイメージを振り払った。
…トカゲと自分を重ねるなんて、どうかしてる。
急いでトカゲの死骸の上に土をかけ、手でしっかりと押さえて、土を固めた。
…悪かったな。俺のせいで。
せめて安らかに眠って、生まれ変わったら、今度はコモドドラゴンとかになって。
シカかイノシシに生まれ変わった雨野リリカを、復讐とばかりに食べてやってくれ。
トカゲの成仏を祈って、俺は校舎の中に入った。
すると、そこに別の教師が通りかかった。
手を泥まみれにしている俺を見て、怪訝そうな顔をした。
「ちょっと。何してるの?もう一時間目の授業が始まってるでしょ」
「あぁ…。…はい」
「さっさと教室に戻りなさい」
授業をサボろうとしているように見えたのだろうか。
そんなはずがないことは、俺の汚れた手を見れば一目瞭然だろうに。
呆れたようにそう言って、その教師はさっさと立ち去った。
…別に、「どうしたの」とか、「何があったの?」とか、そういう言葉をかけてくれることは期待していない。
そう。俺は、誰にも何も期待しない。
誰かが、俺に何も期待しないように。
他人の好意を期待するのは、それは傲慢だ。
またクラスメイトに笑われるだけだと分かっていながら、俺は自分の教室に歩いて戻った。


